ジェイ・エム・エス(中区加古町、桂龍司社長)は、2026年度を最終年度とする中期経営計画をスタートした。収益構造の改革とグローバル展開の推進を基本方針に掲げ、事業環境が変化しても安定して利益を確保できる筋肉質の経営体制を目指す。24年3月期の連結売上高は653億円と過去最高を更新。一方で、原材料や電力などの経費高騰に加え為替変動が響き、営業、経常、当期純利益共に減益だった。拡大する需要に向けた経営資源の重点配分と体制の強化を図り、海外市場の開拓を本格化していく。

20〜23年度は4期連続で増収としたものの収益性が低下。営業利益は23億円超からマイナス2億円超に転じた。コスト高に加え、中国をはじめ保護貿易が広がる懸念もあり、事業環境が一段と厳しくなる中、需要拡大が見込めるかどうかを見極め、選択と集中の経営戦略へかじを切る。27年3月期は営業利益25億円、投下資本利益率(ROIC)3・5%以上の数値目標を掲げる。コア事業は現在、輸液・栄養、血液・細胞、外科治療、血液透析の領域で、海外は血液透析やOEM・ODM。今後は新規分野や成長分野の事業領域へ研究・開発費などの経営資源を戦略的に投じ、拡大していく。新規分野では高齢化に伴う在宅医療の需要が高まる中で透析に照準し、血圧や体温などのバイタル情報を医療や介護の従事者間で共有できる多職種連携の腹膜透析療法を拡販する。成長領域では、抗がん薬を安全に取り扱うデバイス「ネオシールド」に的を絞り、主に北米向けに展開。白血球除去フィルターと血液バッグの一体的事業は巨大市場の医療後進国向けに展開していく。韓国や中国、フィリピン、インドネシア、シンガポールに海外生産拠点を配し、選択と集中を実践する中、グループ全体で最適地生産を推進する。引き続きM&Aやアライアンスも進めて投資効率を高め、27年度以降で成長戦略に転じる構えだ。同社は透析治療のパイオニアとして血液透析と腹膜透析関連の医薬品や医療機器でブランドを確立。コア事業で培った技術を医療分野以外へも展開する方針だ。

担当記者:藤井

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