マツダ(毛籠勝弘社長)は減少傾向にある国内販売をてこ入れする。2025年3月期は前年の16万台から13%増の18万台とする販売計画を打ち出す。実現すればコロナの影響を大きく受けた21年同期以降で最多。前期は北米、欧州、中国といった主要市場で軒並み台数を伸ばす一方、国内は3%減で唯一のマイナスになっていた。新発売する最高級モデルの3列シートCX-80に加え、既存のSUVを中心とした商品体感を促す施策を強化して反転攻勢を図る。
特にCX-80の売り込みに力を入れる。「ラージ商品群」と呼ぶ大型SUVの第4弾に位置付け、第1弾のCX-60と同様にプラグインハイブリッドシステムやマイルドハイブリッドといった電動化技術を搭載する見込みで、具体的な発売時期は未定。全般の販売促進を狙い、落ち着いた内外装で車のデザインを引き立たせる新世代店舗への移行を進めている。24年3月現在で全国の新車販売店880店のうち27%に当たる238店が改装を終えた。昨年11月には新ブランドメッセージ「心よ走れ。」を公開。運転を楽しみ、豊かな人生につなげていく人間中心の思想を込めたという。そのほか5月13日には抽選で100人に旅行券10万円分が当たるSUV試乗キャンペーンを始めており、今期もイベントなどを通じた価値訴求を行う方針だ。コロナ禍前の20年3月期は20万2000台を売ったが、21年に17万6000台に減り、22年は15万台を割り込んだ。前期はSUVの競争激化を受け、22年に発売したCX-60の新車効果が薄れたほか、新型車CX-80導入に備えてCX-8の生産を終了したことも響いた。SUV以外では、商品改良を施したロードスターが計画台数を超えたものの、全体の減少をカバーすることはできなかった。前期のグローバル販売台数は前年比12%増の124万1000台となり、6年ぶりに増加。主要市場別では北米が前年比26%増の51万4000台、欧州は同13%増の18万台、中国は15%増の9万7000台。今期のグローバル販売は20年と同等の140万台を計画している。
担当記者:近藤