銅合金加工の黒野金属(呉市倉橋町西脇3680-5、黒野直哉社長)は、北米を中心に需要拡大が見込まれるレジャーボート向け船外機部品の製造を強化する。年内をめどに本社工場に旋盤機械などを導入して体制を整え、同分野を新たな柱に育てる方針だ。水道の水量を計る量水器のケース製造が主力で、工場の稼働が春〜夏に偏るのが課題だった。大手船外機メーカーの依頼を受け、エンジンで発生した動力をプロペラに伝える「船外機駆動部品」=写真=の製造を昨夏に開始。高強度で耐腐食性に優れる高力黄銅CAC303の鋳物に高精度の機械加工を施す。年内に部品の内側と外側を同時に加工できる2スピンドルCNC旋盤と、内部に歯形加工を施すブローチ盤各1台を約5300万円で購入する。現在は外注している加工工程を内製化し、納期短縮や加工・物流費の圧縮を図る。月5000〜6000個を製造し、3年後に年商1億円を見込む。来春をめどに、機械への素材の取り付け・取り外しをロボットで無人化し、夜間操業も始める計画。ゆくゆくは他の船外機部品や他メーカーからの受注も目指す。本社と同市苗代町の2工場制で、設計から金型制作、鋳物製造、機械加工まで一貫して手掛ける。CAC303を含め、10種以上の銅合金に対応できるのが強み。年商は8〜9億円規模。
担当記者:大島