工作機械の開発・製造などのドリームファクトリー(福山市箕島町5226-1、石村和彦社長)は、世界最長となる厚さ1500㍉対応のワイヤ放電加工機を中国の工作機械メーカーと共同開発した。今春、3台を自社工場に導入済みで、外販はせずにグループの栄和製作所(所在地・社長同、金属加工業)の受託加工に用いる方針。特殊な断面形状をした長い貫通穴などの加工に優れ、半導体製造装置や航空宇宙分野などから引き合いが多いという。ワイヤ放電加工機は、電極線に電気を流して糸のこぎりのように対象物を溶解させながら切断する設備で、緻密な作業を得意としている。共同開発した加工機は、電極線に一般的な真ちゅうではなくモリブデン(レアメタルの一種)を使用。伸縮やたわみを抑えられるため、分厚い対象物を加工できる上、薄い対象物を加工する際の精度も高まるという。真ちゅうと比べて加工速度は2〜3倍に高速化するほか、1回しか使えなかった電極線を反復させながら何回も使えるためランニングコストを約20分の1に抑えられる。石村社長は「これまで国産メーカーの最大加工厚みは500㍉、世界では台湾の800㍉だった。電気が通る素材であれば何でも加工でき、ミクロン単位で精度が維持できるのも強みの一つ。微細加工技術を磨き、新たな成長の足掛かりにしたい」と話す。石村社長は1991年8月に金属加工業を始め、92年3月に栄和製作所を設立。マシニングやフライス、NC旋盤加工などを請け負っている。2006年には自らが作りたい機械を開発するドリームファクトリー社を設立。これまでに折れたタップやドリルなどを溶かして取り除く高周波放電加工機「一発ぬくぞうくん」などを製品化している。
担当記者:柴田