中国運輸局はアフターコロナや2025年の大阪・関西万博による訪日外国人の増加を見越して、大阪から中国地方の周遊につながるようなショートクルーズ主体旅行の商品化を促す。新幹線などで足を運んでもらい、船で瀬戸内海の多島美を眺めながら島々を巡り、その土地の文化を堪能するツアーを想定。23年度のモニター検証を基に、24年度以降の販売実現に向けた方針案をまとめた。要点として、船で島を巡り多彩なマリンレジャーを楽しむアイランドホッピングをはじめ、ラグジュアリーさ、独特な島文化や歴史の体験などを挙げた。滞在時間に合わせた行程のアレンジ、船内の過ごし方などの工夫も重視。これらの需要に応えられる観光資源は豊富にあるが、点在しており、線や面にするための仕組みが不足している。チャーター船とそれを停留できる港の情報を整理するほか、相互送客のためにも船舶事業者や他の観光事業者とのネットワーク構築が急務とした。SNSなどで継続的に情報を伝えるとともに、各地域の長期的なコンテンツ開発や受け入れ環境の整備が必要という。モニターツアーは2泊3日で観光型高速クルーザーのシースピカ乗船(大久野島や御手洗、音戸の瀬戸など周遊)、鞆の浦や周防大島の散策、多々羅大橋の登頂、田島のカキ養殖見学、果物狩り、竜崎温泉入浴などを盛り込んだ。在日外国人ライター3人や旅行専門家らを招待し、さまざまな項目の5段階評価で平均4・2の高評価を得た。ライターにはSNSで記事を発信してもらい、約220万のインプレッション(表示された回数)があった。同モニターツアーは2コースあり、実際に販売すれば1人当たり30万円以上と同60万円以上の売り上げが予想され、19年の中国地方の旅行消費単価2万9627円を大きく超える。
担当記者:吉田