広島市は2024年度から、若い農業者を確保するための「ひろしま活力農業経営者育成事業」で、小松菜など葉物野菜以外への品目転換促進の補助を始める。小松菜は生産が伸びているが、値崩れすることもあり、所得向上のためピーマンやキュウリといった果菜類などへの転換を促す。また中山間地域好循環創出支援事業「活力就農者地域定着応援型」として、就農1〜10年目を対象に飲食店や小売店など安定した販路の確保・拡大のモデル事業も始める。
品目転換の補助は栽培時に使う支柱などの資材、液肥混入機などの農業機械が対象で、補助率は2分の1で上限80万円。活力農業経営者育成事業研修後の就農4〜10年目が対象になる。24年度は当初予算で800万円を計上。ビニールハウス等整備補助事業は市農林水産振興センターが実施主体になり、国と市を合わせ全額補助を受けてビニールハウスを整備し、賃料の低減・定額化(年100万円)で15年間、新規就農者に賃貸する。1人3㌃×10棟計30㌃が基本モデルで、資材費等値上がりに伴うビニールハウスのリース料上昇に対応する。24年度の当初予算は2カ所分の4321万1000円を計上。販路確保・拡大のモデル事業は、10年目までの活力就農者1人以上を含む3人以上の地域団体などが対象。就農1〜3年目は葉物野菜、4〜10年目は転換促進補助事業を利用し品目転換した葉物野菜以外が対象。補助対象者は販売先と生産供給協定に基づく価格(直近5年間の平均市場価格の85%が下限)を市場価格が上回った場合、差額に出荷量を乗じて補助する。販路のマッチングは、広島広域都市圏農作物生産・出荷促進商談会の委託者の協力を見込む。市が推奨する7大葉物野菜(加工向けが主体の広島菜を除く)のうち、22年の小松菜の市中央卸売市場への入荷は1997年に活力農業経営者育成事業が始まる前の95年の年間500㌧から倍以上となる1207㌧になり、シェアでも62%を維持している。22年のホウレンソウは513㌧(95年854㌧)でシェア41%、青ネギは265㌧(同514㌧)で21%、春菊は124㌧(同507㌧)で46%、パセリは5㌧(同82㌧)で19%、水菜は313㌧(同418㌧)で62%となっている。ひろしま活力農業経営者育成事業は24年3月時点で54人(安芸太田町分を除く広島市分)が研修を修了し、46人が継続就農。エリア別では安佐北区白木町と同区安佐町が各14人、安佐南区沼田町10人、佐伯区湯来町5人、同区五日市町が1人、安芸区阿戸町が2人となっている。
担当記者:大谷