2023年5月から造成工事が始まった廿日市市の「平良丘陵開発土地区画整理事業」へ進出を希望する企業が相次いでいる。工業施設用地17㌶超のうち、既に17社が同事業組合との間で計13㌶の土地売買契約を済ませており、残る土地も1社が3㌶規模の契約を待つ。一般的に工業団地の売却は数年を要するケースが多いが、同工業用地は2022年6月の販売開始から1年半で完売にこぎ着ける見通しだ。17社のうち、11社は事業拡大などを目的に進出・移転する同市域内の企業が占める。市外企業6社のうち、進出後に本社を廿日市に移すケースもある。鉄製品や木材、段ボールの加工、ケミカル関係など15社が製造業。26年度に造成工事を完了予定。山陽自動車道と西広島バイパス(国道2号)にアクセスする好立地を備えた大規模開発エリアの人気は高く、現在も問い合せがあるという。市は21年度に実施した企業立地調査を踏まえ、新たに上平良二重原地区の山林・農地など約24㌶を開発し、うち事業用地約9・6㌶を計画。27年度の造成工事完了後に売却する。宮島スマートインターチェンジから半径2キロ圏内に位置し、運輸事業者の立地を中心に検討している。市の新都市活力創出拠点地区として組合施行で進める平良丘陵開発土地区画整理事業は、宮島SA東側で西広島バイパスに近接する平良・佐方地区約70㌶を対象に、工業用のほか観光・交流施設用地約15㌶などを整備。事業構想・計画立案をアクアイグニス(三重)と西松建設が担い、23年9月設立の観光交流エリアまちづくり協議会で協議を重ね、29年度から順次、ホテルや店舗などを開業していく。既成市街地からの企業移転跡地は高度利用、人口集積による経済サービス誘発などを目論む。同事業による新規雇用と市税収入の効果は観光・交流エリアで約380人・約11億8000万円、工業エリアで約390人・約12億9000万円と予測している。
担当記者:藤井