ビルメンテナンスの第一ビルサービスなどでつくる、みどりホールディングス(中区大手町、杉川聡社長)は2月、経営者を目指す個人が中小企業を発掘し、出資者の支援を受けて自らが経営に参加する「サーチファンド」の手法を活用したM&Aを始めた。同社は2012年から不動産関連や給食・介護などでM&Aを進めており、約10社をグループ化。今後も年間4社程度を計画し、この手法によって事業拡大を加速させるとともに、経営者人材の発掘を目指す。
通常のサーチファンドは投資会社や金融機関が多く、民間企業で個人に出資する形は珍しい。同社ではこれまでM&A専門会社や金融機関などを活用してきたが、経営を希望する個人へも提携先を拡大する。提携期間は1年間。新規M&A対象企業の調査・検討・成約までを担当してもらう。提携料は総額400万円(税込)。M&A後には、承継先の経営者としてマネジメントを任せる。M&Aに伴う費用は、全てみどりHDが出資。対象地域は同社が事業展開する中国・四国・九州で、売上高10億円規模の企業を探してもらう。希望者はウェブ専用の応募フォームから申し込み、書類審査や面接を経て契約となる。みどりHDには現在グループ全体で1861人(23年6月現在)の従業員がおり、これまでは社内で経営者人材を育成してきた。今後は、個人を募る手法との両輪で経営者人材の確保を図る。例えば、大企業などのマネジメント経験者を外部から募ることで、これまで人材不足で見送ってきた案件にも対応できるようにしていくという。みどりHDはこのほか、県内外で不動産の取得にも力を入れる。昨年末から今年にかけて北海道のオフィスビル2棟を購入。ほか、山口県では3月31日付で営業終了する「ANAクラウンプラザホテル宇部」のオフィス・ホテルビル2棟を購入。十数億円の投資で過去最高額規模となった。活用法は検討中。今後、ビル取得も継続していく。