広島県は2024年度から新たに、肥料や飼料向け加工量が減少するなど需要が低迷しているカキ殻の有効活用対策事業を行う。カキ養殖業者らが中心となってカキ殻を使った海の底質改善ができるよう実証試験に取り組み、海域へのカキ殻の投入方法などのガイドラインを策定する。昭和30年代から平成10(1998)年まで行われた海砂採取跡地も対象に、カキ殻投入による水深のかさ上げでの漁場環境改善の試験施工を計画。施工方法、調査手法、費用を検討する。

カキ殻による底質改善は、文献や実証試験を基に、粉砕方法や粉砕サイズ、乾燥、投入方法などをガイドラインとして策定。カキ養殖業者が中心となり、カキ筏いかだやカキ棚下などの海域への投入を見込む。海砂採取は1998年までに、許可分だけで約1.6億立方㍍が採取され、水深が10〜40㍍深くなっている。竹原沖の海砂採取跡地にカキ殻を投入してかさ上げし海藻の繁茂を促し、エサの増加、有機汚濁・貧酸素の克服など漁場環境の改善を見込む。2023年度補正予算で、試験的にカキ殻を海底に敷き詰めた増殖場(水産生物の保護育成等を目的にエサ場や隠れ場所等の機能を持つ人工施設)を江田島沖に約2㌶造成。工事の本格実施の際に必要な設計基準の設定や水産生物の増殖効果を把握するための現地調査を行う。カキ殻は年間約20万立方㍍が排出され、肥料や飼料などで約14万立方㍍が利用され、6万立方㍍分が余るとされてきたが、需要低迷などで県内6カ所のカキ殻集積場が満杯になり、殻の一時的保管場所として中区江波沖町の県有地(保管面積1万500平方㍍、最大収容6万3000立方㍍)をカキ業者などでつくる広島かき生産対策協議会に貸し付けた。

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