上智大学名誉教授で広島在住の香川正弘さんが昨年2月設立したコミュニティアカデミー(中区舟入南4-13-7)は、さまざまな地域で65歳以上が学び直せる場「シニア塾」を計画する。現役世代のリスキリングはキャリアアップや事業成長を目的に盛んになってきたが、最期まで自分らしい人生を送るための探求の場が不足しているとして、退官教授やシニア専門家を講師に迎えてゼミ形式で深掘りする。まずは市内で2月28日から試行しており、5月から東京の日暮里でも予定。

香川さんは「生きがいある長寿社会 学びあう生涯学習」などの著書があり、定年退職を迎える人は仕事に代わる新しい生き方や仲間・友人、再出発のきっかけなどを求めていると分析。一般的な大学の公開講座やカルチャー教室と違い、シニア塾は複数回にわたり受講生が集団で課題について考えて発表・討論するゼミ形式にする。退官教授やシニア専門家らがメンター(指導者)とモデレーター(進行役)を務めることで、視野を広げながら主体的に学び、自分の心性を見つめてもらう。香川さんは「大学の持つ知的・文化的な資源をさらに社会に活用するためには、組織の枠を越えて、有識者それぞれが各地域で知見を伝える草の根のような活動が必要だ。シニア塾の協力者を集めて、講師がさまざまな市町を訪ねる形にしたい。当面は県内3カ所を目指す」と話す。ただ自身は80歳を超えて体調に不安があることから、事務局を担う後継者を募っている。無償で指導する。2月28日に始めた第1弾のゼミは日比野病院(安佐南区伴東)の木矢克造院長が「脳の病」をテーマにメンターを受け持ち、広島女学院大学の松浦名誉教授がモデレーターを担う。3月は6、13、27日午前10〜12時にホテル広島ガーデンパレスで実施。東京で予定するゼミは金子みすゞ記念館の矢崎節夫館長が担当。受講料はメンターによって異なり、5回のゼミの場合で5〜10万円。ファクス082-232-4680。

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