観光需要の回復や脱炭素化を背景に、市内で電動モビリティのシェア拠点が急速に増えている。全国で電動自転車のシェアサービスを展開するオープンストリート(東京、OS)は1月10日、広島市内2カ所に貸し出し拠点を設けた。回遊性向上を狙う実証実験に位置付け、広島電鉄などが協力。市が運営するシェアサイクル「ぴーすくる」も新拠点が相次ぐほか、昨年7月にはループ(東京)が自転車とキックボードの供用を始めるなど、移動手段の選択肢が充実してきた。
OS社のサービス名はハローサイクリング。中区基町のホテルメルパルク広島に9台、広電西広島駅に隣接する広場「コイプレイス」に7台分のポートを設け、中〜長距離の移動に適したスポーツタイプ自転車を配置する。料金は最初の30分で300円、以降は15分ごとに150円。12時間3000円のプランもある。実証実験が終了する3月末以降も運用を続け、宮島口エリアなど市内外の拠点を増やす構想という。実験には昨年3月に開業した「ひろしまゲートパーク」など市内施設の運営を手掛ける広島電鉄と、大成建設が利用促進などで携わる。市のシェアサイクル、ぴーすくるは2015年にサービスを開始。ポートは昨年に15カ所を設け、累計140を超えた。車体はOS社に比べタイヤ径の小さいタイプだが、最初の60分が165円、1日利用でも1100円と比較的手軽に借りられる。ループは昨年7月、電動キックボードの運転が16歳以上なら免許不要になったことを受けて広島へ進出。スタート時点で約40拠点、自転車とキックボード各30台を配備した。キックボードは外国人に人気があり、予約や支払い用アプリには英語版も用意している。利用料は基本の50円に加え、1分ごとに15円。このほか県も、本庁舎敷地内で25年春に完成予定の施設に電動自転車とキックボードの貸し出し拠点を設ける計画という。