主力商品のふりかけ「ゆかり」を調味料使いする販売戦略が当たり、好調だ。ゆかりを添えることで小売店の生鮮三品販売を押し上げ、売り場の活性化を促した。2024年12月期売上高は過去最高を更新し、150億円を突破する。みんなのモチベーションを高め、成果を上げる経営姿勢などを聞いた。

―好業績をどう分析していますか。基本方針「良い商品を良い売り方で」に徹し、品質重視を最優先している。決め手になる原材料の赤シソは自社で新品種を開発。契約農家で商品として使える若葉を厳選し、収穫して加工にもひと手間かけている。支持され続ける品質の良い商品づくりは無論、ここ数年はその良い商品をもっと知ってもらう工夫に取り組んできた。ようやく軌道に乗り始め、手応えを感じている。広告宣伝は控えており、卸やその卸先、小売り、一般消費者も含め、あらゆる顧客が〝何に興味を持ってくれるのか〟を常にイメージしながら工夫を重ねている。

―SNSでの拡散が話題を呼び、販売を押し上げました。

「ゆかり」「かおり」「あかり」のふりかけ3商品が、思いがけなく3姉妹に擬人化されてネット上で拡散。SNSの活用に気付かされた。2021年発売の広島菜を使った混ぜごはんの素「ひろし」シリーズで男子も加わり、現在9人(商品)をラインアップ。消費者サイドの話題が先行して小売店の販促につながった。こうした積み重ねが相乗効果を生んで家庭用が伸び、今期は業務用と半々の売上比になる見通しだ。

―「メイン食材販売支援プログラム」が成果を上げています。

ゆかりを調味料とすることで生鮮三品の購買意欲を引き出す作戦だ。10年以上前から取引先の商品販売を促す目的で〝脇役戦略〟を醸成し、昨年から本格化した。単に、複数の商品カテゴリを組み合わせるクロスMDとは一線を画す。ゆかり1㌘入りサンプルを付けて店頭販売してもらったところ、野菜が高騰する中で消費を喚起。キュウリなど3〜10倍の売れ行きを示した。一連の販促物も無償提供し売り場を活性化する。

タペストリー・商談で活用

現在、流通大手など20社以上に導入が進み、引き合いも増えている。昨年はイズミやフレスタ、ハローデイ(北九州市)、遠鉄ストア(浜松市)など流通小売り10社の協力を得て200件以上の売り場で展開。データ取りしたところ最大で青果2・5倍、精肉3・2倍、鮮魚3・5倍、デリカ3・3倍の売り上げをたたき出した。取引先の業績アップにつながり大成功。裏付けのあるデータとしてタペストリーなどに仕立て活用し、日常作戦と称してBtoBの商談で活用していきたい。

―商品の見せ方もユニーク。カッパ大作戦について教えてください。

例えば、展示会でコーポレートカラーのブルーを全面に打ち出して商品紹介していたことがあった。ゆかりを訴求するなら、やはり紫色にすべきではと指摘した。これまでも、ゆかりをPRする人形を売り場に置くなど営業拠点ごとに販促を競い合ってきたが、特に、ゆかりと相性のよい、カッパの大好きなキュウリに着目。カッパ人形を各拠点で制作し、展示会で活用し始めた。メイン食材の販売支援を強力に推進する切り札になってもらう。販促は、興味を持ってもらえる工夫次第。私が脚本を書き、昨年6月の土日に計4回、都内の量販店で、ゆかりの汎用性をPRする〝広島菜一族〟を社員3人で舞台公演した。舞台を囲む売り場にはふりかけシリーズを1700フェース陳列。立ち見も出た。店長もレジに張り付く活況を呈し、店舗売り上げを押し上げた。取引先の意欲と息の合ったタッグを組んでこそ成果も出る。演劇はマジックや歌謡ショーも交え、老健施設で展開する計画も温めている。

―生産体制の整備について。

2月から関東工場は2交代体制をスタート。広島は既に先行。10年前に比べ生産量は4割アップしている。何事も徹底的にやることが大事。面白がって仕事に取り組む。俺も私もやってみたいと思わせる企業風土づくりが私の役目だと考えている。

担当記者:藤井

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