2024年の広島県経済は緩やかな回復基調になったが、物価高や原材料高が続き、企業業績や家計への影響が懸念される。広島では新サッカースタジアムが開業。今春にはJR広島駅ビルが開業するなど都市開発が進む。地元金融機関トップに25年の県経済の見通しや注力分野などを聞いた。

―呉経済の状況と新年の動向は。人口や事業所の減少など構造的課題の一方、呉駅前再開発の複合ビル着工など明るい動きもあります。観光拠点の大和ミュージアムが2月17日から26年3月末までリニューアル休館予定で、幸町地区では青山クラブの一部保存、跡地への市立美術館の新築が検討されています。日鉄跡地は解体工事が進み人員規模は減っていますが、地元の解体業者で機械設備の資金需要がありました。日鉄跡地利用は実務者会議が動き始めています。―国内の金利上昇の影響は。預金金利を先に上げ、融資は事業者が6割、住宅ローンは8割が変動金利で、交渉が始まっています。昨年4月から信金中金の担当者を招き研修会を開き、渉外担当の大半が受講。中期計画で顧客への接触回数増を目標にしており、経営者への金利説明を経営改善、販路拡大、DX支援などにつなげています。―24〜26年度中計の進ちょくは。預貸金ともに当初計画を上回り今出金は4960億円の見通しです。預貸率も63%とこの5年で約10ポイント上昇。中期計画では採用を含めた人材育成を重視しており、24年度に全職員の給与(平均7・5%)を上げました。元職員が職場復帰する「ジョブリターン制度」も始め、総合職3人が入庫。また職員による紹介制度も始め、計8人を採用しました。事業者の本業支援のスキルアップも重要で、今年は呉市の事業として8社がスーパーマーケット・トレードショー(幕張)に参加し、呉信金からも職員が同行予定です。昨年9月にDX・GXフェアを初開催し、製造、建設業の業種特化型の出展もあり43社82人が参加。人手不足や情報の有効活用などDXニーズが高く、次回は不動産や介護分野をテーマに開催予定です。昨年10月に14年ぶりに広島西支店を新設。法人を中心に手応えを感じています。インターネット支店も好調で、11月末で貸出金残高は前年同月比で140億円増えています。伝票のペーパーレス化などの窓口支援システムを昨年まで11店で導入。今年は1月に江能、広島西支店など4店、2月に阿賀、海田支店など3店で導入し、24年度末には18店での運用になります。―本店・広中央支店の建て替えは。広中央支店は7月に解体工事を始め、新支店を27年6月の完成予定です。本店は27年7月に解体を始め、29年11月完成予定。本店別館は解体し駐車場にする計画で全体では30年11月に完了予定です。9月に100周年を迎え、来年3月まで15カ月間を周年期間として記念行事を予定しています。10月1日にクレイトンベイホテルで祝賀会を開催。OB会、職員と家族の会も予定し、記念商品や周年誌刊行も計画しています。

担当記者:大谷

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