ー広島県経済の現状と2024年の見通しをどうみますか。新型コロナの5類移行で人流が増え、消費者の購買力も高くなっていると感じます。サービス業は飲食店のみならず百貨店など概ねいろいろな業態で持ち直してきており、経済は良い方向に進んでいる印象です。また、広島駅北口の再開発が一段落して南口の工事が進み、間もなく開業するサッカースタジアムはゲートパークなど周辺との相乗効果も期待されています。街の再開発の観点からも地域経済の活性化が期待できます。金融情勢ではマイナス金利が解除される可能性があります。米国は利下げの観測があり、一般的に言うと、日米の金利差が縮まることで少し円高の方向にシフトすると考えられます。ただ、輸出企業は1ドル135〜140円程度を想定している企業が多く、輸出産業への影響は限定的ではないかと見ています。お取引先の経営者には人材確保を主目的にベースアップや定期昇給などの賃上げを考えている方が多く、温かみのある経済になる期待感があります。物価と賃金の好循環が社会に浸透していく1年になるよう期待しています。ー米国、欧州、中国、新興国など国内外の情勢をどうみていますか。米国の利下げ見通しについては、想定よりも早いタイミングだと感じた人が多い中、景気を悪化させない施策との期待感が出ています。米国は世界経済を支える購買力、人の集積があり、経済が低迷すると世界に悪影響が広がりますが、現段階では米国経済はそれほど悪い方向へは行かないとみています。中国経済については不動産不況もあり、投資が以前ほど積極的ではないかもしれません。欧州はロシア・ウクライナの情勢が不透明で、現水準の継続を想定しています。24年は台湾総統選、ロシア・ウクライナ情勢、米国大統領選、この3点が世界経済に大きな影響を与える可能性があるイベントとして注視しています。ー4月から新中期計画が始まります。注力分野を教えてください。地域活性化への貢献を大前提に、法人部門はコンサルティング活動の強化、個人部門はストック型ビジネスの強化を柱に考えています。人口減少や後継者不足が課題となる中、地域が発展しないと地域金融機関の発展もない、ということを再認識しています。法人部門は融資だけでなく、エクイティ(出資)にも力を入れ、お取引先にとって何が一番適切なのかをグループ一体となって考え、ソリューションの提供に取り組んでいきます。事業承継・M&Aのニーズも高まっており、ひろぎんキャピタルパートナーズなどグループ会社とも連携しながら多様な手法で支援したいと思います。カーボンニュートラル支援としてサステナブル・リンク・ローンなど、関連サービスの実績が出始めていますが、一方でお取引先への啓発や情報提供も必要だと感じます。昨年8月に群馬や名古屋、横浜銀行など自動車産業が盛んな地域の地方銀行7行で、自動車産業支援の高度化に向けた覚書を締結。積極的に情報交換を進めて地元サプライヤーへの支援に生かしたい。また、船舶分野では新燃料が注目されていますが、水素、アンモニア、メタノールと何が主流になるかはまだ分からない状況です。昨年10月にポセイドン原則に署名しました。他行などとも連携し積極的な情報収集と提供を行い、お取引先のカーボンニュートラルの取り組みを後押ししていきます。1月にはシンガポールに現地法人を設立し、4月の営業開始を予定。海事関連企業を中心としたコンサルティング業務を強化し、人員も現状の2人から4人体制にする予定です。シンガポールのほか、インドネシア、マレーシア、インドなど周辺6カ国を管轄し、お取引先支援を強化していきます。ー個人部門の取り組みは。お客さまが将来達成したい人生の目標(ゴール)を共有し、目標達成の実行プラン策定からサービス提供、継続的なフォローまでを中長期的に伴走支援する「ゴールベースアプローチ」を実践することで、お客さまの豊かな暮らし実現への貢献を目指しています。1月開始の新NISAについては、約1年前から各営業店が積極的に資産形成提案を実施しています。併せて地域の金融リテラシー向上に向け、金融教育にも力を入れています。人員面ではCA(コンサルティングアドバイザー)を集約し、お客さまの長期伴走支援体制と人財育成を強化する方針です。ー人員配置については。次期中期計画ではMEJAR移行を見据えて、IT・デジタル部門に約180〜200人の戦略的配置を計画しています。銀行では法人部門に人的資本を配分し、グループ全体で法人担当を約80人増員する予定です。営業体制の見直しや事務・融資・企画部門からの配置転換に加え、専門性を持つキャリア採用などを行います。ーMEJARでの取り組みは。総合企画部内にアライアンス推進室を設け、参加行の横浜、北陸、北海道、七十七、東日本銀行と、役員級は半期に1度、頭取は年に1回のペースで定期会合を行っています。マーケットが重複しておらず、サステナビリティ分野の商品・サービスに関する連携協定に参加するなど、システム以外の連携も行っていきます。ー店舗などの拠点整備の状況は。 23年12月には広島銀行十日市支店とひろぎん証券三次支店の共同店舗「もくろす みよし」(3階建て延べ1962平方㍍)を新築移転オープン。環境配慮型設備の導入や県産木材の活用など、温室効果ガス排出量削減につながる「サステナブルビル」として、第三者機関から最高ランクの「ZEB」認証(BELS最高ランク5つ星)も取得しました。今年は南区西蟹屋の本店仮店舗跡地の一部に「ひろぎんキャリア共創センター」(7階建て延べ約5600平方㍍)が2月末に竣工し、4月より稼働予定です。グループ内の研修やセミナーでの活用に加え、グループ会社であるひろぎんヒューマンリソースの研修事業での活用も予定し、「地域人財育成の場」として地域活性化に寄与する施設にしたいと考えています。5月には、広島東支店(南区荒神町)と広島駅前支店が広島駅南口のエールエールA館7階に移転(延べ870平方㍍)します。アプリをはじめとしたデジタルチャネルも拡充していきますが、既存の店舗機能も銀行としては大切な財産であると認識しています。ー仕事以外の関心事は。以前は休日に自宅近くを1時間程度ウォーキングしていたのですが、最近は忙しくあまりできていないので、今年はウォーキングの時間をつくりたいです。また、留学を機に続けてきた英会話も頻度が減っているので、回数を増やしたいと思っています。地元球団として応援する広島東洋カープは若手中堅がしっかり育っているので、今年は優勝してくれることを期待しています。

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