4月から開かれる大阪・関西万博では350万人の訪日が見込まれる。円安もありインバウンドに追い風が吹く中、県観光連盟、せとうちDMO、リーガロイヤルホテル広島のトップに期待感や重点施策を聞いた。

福山の神勝寺禅と庭のミュージアム

田部井 日本食のコンテンツの魅力発信に向け「料亭」の発掘にも取り組んでいます。食と共に日本の文化、おもてなし、四季を感じられる庭など、インバウンドの注目度が高い。瀬戸内エリアで各県の料亭を選定し、有識者の意見も取り入れながら、外国人向けのコース料理や体験などを練っているところです。それを、せとうちDMCで販売したり、海外の旅行会社への案内などで集客し、25年度からは収益化していきます。せとうちDMCは24年8月に、欧米豪の高付加価値旅行者向けのツアー企画・造成・販売を目的に、第2種旅行業の登録を行い、承認されました。観光体験としてのクルーズは高い人気を誇り、宿泊型客船「ガンツウ」は17年の就航以来、瀬戸内海の絶景を楽しむ特別な体験を提供し、高い稼働率を維持しています。この成功事例を参考に、観光需要に応じたクルーズ船の規模や仕様について調査を進め、地域事業者と連携して新たな船の開発を検討したい。一方で観光地へのアクセスを支える二次交通(空港から宿泊施設や観光地への移動手段)が課題となっており、リムジンバスの提案に力を入れたい。特に瀬戸内地域では、広範囲に点在する観光地への効率的な移動手段が求められており、少人数旅行者向けの交通手段の充実が重要です。夫婦や小グループで旅行するインバウンド客が増加している中、旅館や宿泊施設による送迎サービスの導入など、地域事業者との連携が必要です。―人材不足への課題は。田部井 ヒルトン広島は正社員約200人のうち、5割が新卒採用。23年4月に開業したRyokan尾道西山は24年4月に新卒3人を採用しました。コロナ禍で離れた、広島にいた観光業界の人材は東京・大阪の同業界に再就職している現状があります。それは、給与の高さや都市の魅力が影響していますが、広島の魅力も負けていません。大都市レベルの人件費に追いつけば、若者の人口流出も抑えられます。当社では地域経済の活性化を狙って、高価格帯のプランに注力しています。観光客も来る、そこで働く人材も増える、といった好循環をつくっていきたいですね。―25年のトピックスと事業者へのメッセージは。坂元 3月に事業者向けセミナー「せとうちミーティング」を4年ぶりにリアル開催します。広島国際会議場で500人、オンライン500人を見込み、その時には、せとうちDMOが掲げる7テーマ(食、宿、地域産品、アート、サイクリング、クルーズ、サステナビリティ)の各部門で事業者を表彰する「せとうちDMOアワード」を予定しています。どの業界も人材不足が課題ですが、地域の歴史・伝統や魅力を語れる人材を掘り起こし、育成にぜひ力を注いでもらいたいです。田部井 春に開業する尾道倶楽部は、尾道のシンボルになると期待しています。当社は宿泊、コンサル事業、ファンド投資など領域が広い。一緒に伴走できる体制があるので、ぜひ気軽に相談や情報交換をしていただきたい。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事