1991年にル・マン24時間レースで日本車として初優勝した「787B」は昨年、日本自動車殿堂「歴史遺産車」に選定。RE搭載車では67年発売の「コスモスポーツ」に続く。今年2月1日、36人の技術者が集まり「RE開発グループ」を復活させた。発電用などで一層改良するほか、環境規制が強まる中でカーボンニュートラル(CN)燃料対応など研究開発を進める方針だ。 1974年の本誌インタビューで当時の松田耕平社長は排出ガス規制の強化に触れ、「まず、いかにして現在の燃料でエネルギー効率を高めるか。長期的に見るとREの燃料はガソリンからアルコール系へ、そして水素へと進みそうだ」と話した。50年たった現在、同社は水素燃料のRE搭載車を世界で初めて実用化(2006年にリース販売)。CN燃料を使うロードスター(2・0L直列4気筒自然吸気エンジン)をスーパー耐久レースで走らせている。ものづくり企業にとって基幹技術を磨くことは無論、その時代に求められる形を模索し続ける姿勢が必要なのだろう。
生まれ変わった広島駅ビルが3月24日に開業する。広島電鉄の路面電車乗り入れや、約220テナントの商業施設「ミナモア」などを着工から4年がかりで整備した大型の再開発事業だ。1日14万人が乗り降りする中国地方最大の「陸の玄関口」として人と街をつなぎ、一層のにぎわい創出や利便性の向上に期待がかかる。
2階で広電直結 JRとの乗り換え便利に

新駅ビルの特徴の一つが、広電の路面電車のビル2階乗り入れだ。駅中央口や新幹線口改札と段差なくつながる。乗り換えに伴う移動距離は現在より62㍍、時間は74秒ほど短くなる。今夏をめどに開通予定の新ルート「駅前大橋線」は、八丁堀・紙屋町など市中心部へのアクセス時間を約4分短縮する見込みだ。広電の乗り入れに伴って生まれた旧乗降場の空間やビル1階を活用し、バスの乗降場を増設した。また、駅ビルには県内初出店(西日本初や中四国初を含む)が3割以上を占めるミナモア、屋上の「ソラモア広場」、380室を備えるホテル、複合映画館なども入り、新たなにぎわい創出が見込まれる。
ミナモア、県内初が多数 3千人の新規雇用見込む

ミナモアは地上6階から地下1階までの7フロア計約2万5000平方㍍に及ぶ。コンセプトは「居心地の良さ」と「広島らしさ」で、全館の内装デザインは北欧の街並みなどを参考にしたという。昨年12月時点で188のテナントが決まり、化粧品のSHIROや機能性衣料品のテンシャル、コーヒーチェーンスターバックスのティー特化店など66店が県内初出店。駅の商業施設「エキエ」の一部店舗もミナモアに組み入れるため、総店舗数は220店ほどになる。3000人規模の新規雇用を見込む。