いよいよ球春到来。初優勝から半世紀の節目に立つ今年のカープは、青山学院大学出身でドラフト1位の佐々木泰、常廣羽也斗が共に開幕1軍を狙う。箱根駅伝では中国電力OBの原晋監督率いる青学が見事、2年連続の総合優勝を成し遂げた。春近し。青山と広島は何かと相性が良い。マツダは2月6日、青学メインキャンパスからすぐ近くの東京都港区南青山にブランド体感施設「マツダトランス青山」をオープンした。ソウルレッドが鮮やかなコンセプトカー「アイコニックSP」が1階で来場者を出迎える。コーヒーや甘味が楽しめるカフェを併設。階段を上り2階にはイベントなどを開くスペースがある。さっそくトークセッションやフラワーアレンジメント、写真講座といった企画が来場者の人目を引いていた。開場レセプションで毛籠勝弘社長は、「トランスという言葉には向こう側にとか、超えるといった意味がある。既存の販社店舗のような売る場所を超えるという意味を込め、ネーミングした。マツダの存在意義でもある〝前向きに今日を生きる人の輪を広げる〟ための情報発信拠点として位置付けている。当施設には過去のマツダ車のエンブレムを配したインテリアなど、随所に遊び心を持たせた。幅広い層の人に立ち寄ってもらえる場所にしたい」向こう側に居る人を振り向かせ、多くの人の心へワクワクが届く開発コンセプトを体感させるトランス青山から、国内外へメッセージを発信していく。試乗用には昨年導入した新型車CX―80と、2人乗りスポーツ車のロードスターを配備。発電用ロータリーエンジンを積むMX―30や、ひときわ美しく流麗なデザインを誇るマツダ3といった選択肢もあった中で、あえて2015年の発売から10年が過ぎる車種を置く。ブランドマネージャーの石田陽子さんは、「ロードスターはマツダが目指す〝走る歓び〟を体現する車。運転の楽しさを味わってもらうのに最適と考えた。マツダ唯一のオープンカー。この一帯の美しい街並みをより深く堪能できる」車以外にも広島らしさを感じられる工夫を凝らす。1階カフェの監修を手掛けるのは06年に宮島で創業し、島内や宮島口などに店舗を展開する伊都岐(いつき)珈琲。農園や地域などが特定でき、国際審査で高い評価を得た「スペシャルティコーヒー」やコーヒー味のソフトクリーム、生口島産レモンを使うスカッシュやケーキなどをそろえる。佐々木恵亮社長は、「昨年5月頃にマツダから打診を受けた。むろん味にもこだわるが、ここで販売するドリップバッグのデザインに腐心。パッケージに車のシルエットを盛り込むなど楽しんでもらえるようにした。世界が認めるマツダデザインの思いに触れて大変勉強になった。地元を代表する企業と共に、この青山で広島の魅力を発信できることがうれしい」トランプ大統領が強烈な関税政策を振りかざす。隣国メキシコにも工場を構えるだけに苦難も予想される。国内需要をいかに取り込むか、今後の主要課題になりそうだ。ロードスター誕生から35周年を迎え、昨年末に特別仕様車を発売。受注は好調という。今3月期で初の売り上げ5兆円へまい進。トランス改革で突っ切ってもらいたい。
担当記者:近藤