トランプ大統領は「連邦政府による全ての検閲停止」とする大統領令を出した。バイデン前政権が誤情報などで社会を混乱させるソーシャルメディア批判を強めたことに反発し、トランプ大統領は「言論の自由」を侵害するとし、大統領令でひっくり返した。大統領就任式にイーロン・マスク氏らプラットフォームのトップがずらり居並んだ。近年、米政権が交代の都度に大きく政策転換。日本ではソーシャルメディアを利用した犯罪事件が多発し、選挙で真意不明の情報拡散により投票行動に影響を与えた。これから新聞やテレビと、ソーシャルメディアとの関係、在り方がどう変遷していくだろうか。フジテレビが大揺れに揺れている。報道機関としての姿勢が鋭く批判を浴びた。一方で新聞界は依然と発行部数減に歯止めがかからない。地域のマスコミを引っ張ってきた中国新聞社(中区)の岡畠鉄也社長は、「こんな時代だからこそ、事実をしっかりと伝える、地域で最も信頼される情報源であり続けようと、改めて社員に宣言し、奮起を促した」ニュースアプリなどの利用者は増え続けているが、全国の新聞発行部数は10年前に比べて4割も減った。中国新聞の朝刊発行部数は46万3000部(2024年12月)。部数減をこのまま放置しておく訳にはいかない。新たな挑戦を開始している。昨年夏立ち上げた読者モニター制度「たるトモ」は編集局が主体となり、登録モニターにアンケート調査やインタビューを継続的に実施。非購読者を含む約2000人の率直な意見に耳を傾ける。2月1日付の役員人事で専務から昇格した井上浩一副社長は、「新聞をはじめとする各種メディアは、読者や視聴者にこんなニーズがあるだろうという仮説の下で、さまざまな情報を発信してきた。当社でも数年ごとにマーケティング調査を行い、コンテンツづくりに生かしてきた経過がある。しかしソーシャルメディアの台頭で変化が加速し、数年に一度では間に合わない。また正しく検証ができているか、読者の求めるコンテンツは何か。より深く探り、より素早く取材に着手し、調査報道なども展開する。物事の核心に迫るジャーナリズム精神を堅持しつつ、デジタル社会に適応したメディア分野も新たに開発し商品力の向上や有料会員の獲得にもつなげたい」1月スタートした3カ年経営計画の重点項目に▽メディア事業の再構築、▽新事業・投資による収入創出、▽グループ経営・連携の推進、▽働きやすい組織と人づくり、の四つを打ち出した。昨年リリースしたニュースアプリ「みみみ」、新会員基盤「たるポ」、地域企業と新興企業を結び付ける「TSUNAGU広島」のほか、PFI事業といった従来の新聞経営になかった分野への新規参入に意欲を見せる。「これまでの計画が助走とすると、今回は再成長に踏み込むフェーズに入る。地域の健全な報道機関であり続けるためにも事業構造の抜本的改革が必要だ。現在のグループ売り上げ686億円を2032年に1000億円に引き上げる数値目標を定めた」不動産事業へ本格参入するほか、M&Aの推進などを盛り込む。老朽化した現本社ビルは、駐車場などのある本社西側の社有地を候補に移転新築する計画だ。本社ビル跡は立地を生かし、ホテル誘致などで収益化の検討に入る。どう変貌を遂げるだろうか。
担当記者:梶原