国が昨年11月に閣議決定した総合経済対策では広島で盛んな半導体や造船、防衛産業など17項目が示され、県内の各産業に追い風が吹く。
メモリー製造大手マイクロン・テクノロジー(米国)は2028年をめどに東広島市の工場に新たな製造棟を設け、AI向け次世代メモリーの出荷を始める。投資額は約1兆5000億円で、経済産業省が最大5000億円規模を補助する。これに歩調を合わせ、東広島市は同工場の近くに新たな産業団地の整備を計画。半導体関連産業の集積を目指す。
県内には他にも三菱電機パワーデバイス製作所福山工場やシャープ福山レーザー、ミヨシ電子広島事業所(三次市)、サンエス(福山市)などのデバイスメーカーをはじめ、ディスコ(呉市)やローツェ(福山市)、アドテックプラズマテクノロジー(同)といった製造装置を生産する企業が多い。県や中国経産局、広島大学などと産学官連携も盛んだ。県は昨年4月に半導体産業課を新設し、持続的な発展を図る。
県はさまざまな産業の企業誘致に力を入れ、特に先端・成長分野の生産設備投資には最大35億円、研究開発を伴う投資に同50億円を補助。経営者や社員の移住も後押しする。
米国関税の影響に手を打つ
県内の製造業は輸送用機器や機械などを米国に輸出する企業も多く、同国への24年の輸出額は約6500億円に上る。県は米国の関税措置の影響を受ける県内企業などを対象に、海外販路の拡大を支援する緊急対策補助を決めた。予算1億9400万円で補助率3分の2。自動車部品メーカーのシグマや産業用コンピューター製造のインタフェース、オタフクソースなど34社が採択された。また、関税措置で売り上げ減少が見込まれる中小企業向けに、低金利融資制度の要件を拡充している。
スタートアップやイノベ創出へ
県は企業の事業革新や起業の促進に取り組み、チャレンジする機運の向上に力を注ぐ。「ひろしまユニコーン10 アクセラレーションプログラム」と名付け、ユニコーン企業のような急成長を志す起業を伴走支援している。4年目となる25年度は、単分子誘電体を使った新メモリー開発のマテリアルゲート(東広島市)など11事業者を採択した。
先端技術を活用するための実証フィールドを提供する「ひろしまAIサンドボックス」をはじめ、市町や公的機関と新興企業を結ぶ「The Meet 広島オープンアクセラレーター」などを通じ、社会実装の実績も出ている。デジタル系企業の県内進出や投資誘致を促すプロモーション期間「ハイ ヒロシマ ビジネス デイズ」も展開。これらの試みを通じた成功者が後進にアドバイスする仕組みなど、単発ではなく相互に革新していく「エコシステム」を目指す。また、新商品やサービス開発に取り組む事業者の経営革新計画を毎月認定し、累計4000件を超える。