県内市町と県内外のスタートアップをつなぎ、実証を支援する県の事業「ザ・ミート」を通して、デジタル技術を活用した地域課題解決の取り組みが広がっている。マッチングサイトを使った地域企業の事業承継支援(呉市)や、衛星データによる農地の分析(福山市)など、この3年で10件以上が運用に移行。本年度はスマートグラスを活用した橋梁点検の効率化(三原市)など、16市町で30件以上の実証が進んでいる。
県は同事業を2023年度に開始。市町の課題に対しスタートアップが解決策を示す仕組みで、毎年約300件が寄せられ、30件前後が実証に進んでいる。呉市は24年、ライトライト(宮崎県)と連携し、同市に特化した事業承継マッチングサイトを開設。今春の楽器店の承継が第1号案件となる。関東に住む地元出身者の閲覧が多く、Uターン促進効果にも期待を寄せる。昨年からは連携を結ぶ竹原市、熊野町などに声を掛け、4市4町で取り組む。
福山市は衛星データのAI解析を手掛けるスペースシフト(東京)に、農地の利用状況の分析を委託。人手による現地確認が必要な対象筆数を約半数に抑え、調査準備やデータのとりまとめを大幅に効率化した。廿日市市と東広島市は、紙で管理していた高齢者向け健康ポイント事業のデジタル化を実施。ほかに防災備蓄の管理システム(北広島町)、AR(拡張現実)活用の観光コンテンツ作成(江田島市)などの例もある。
県イノベーション推進チームの崎本龍司課長は「地方共通の課題に対し、既存手法にとらわれないスタートアップの技術やビジネスモデルは有効だ。小規模な実証から協業に挑戦してほしい。結果としてスタートアップの県内拠点の開設につながるよう期待している」と話す。
実証後の本格導入は一部にとどまるが、協業を一過性の取り組みで終わらせず、実装と定着につなげられるかが焦点となる。