情報開示で人材採用
人手不足を背景に、転職市場は活況そのもの。しかし、大手に比べて待遇面などに劣る中小企業は、せっかく採用してもすぐに辞められてしまうケースが目立つ。その損失は計り知れない。
打開策はないか。広島県は、人材をコストではなく価値を生む〝資本〟と捉える「人的資本経営」を推奨し、人材に関する情報開示の重要性を指摘する。1月30日には定型フォーマットに沿って入力すると関連情報を容易にまとめられる「人的資本開示ツール」システム版の提供を開始する計画だ。
すでに民間の有料版は存在するが、自治体による提供は例がないという。労働生産性や従業員1人当たり収益、平均残業時間、女性管理職比率など50を超える指標データを一元管理。生成AIによる文章作成支援や、グラフ化による分析補助など、無料とは思えない機能がそろう。開発費に約1000万円をかけた。県が主導する「広島県人的資本経営研究会」に入ると利用できる。
情報開示は、経営者にとって一定の覚悟が求められるが、採用力の強化にとどまらず、社員の定着、取引先や金融機関からの信頼獲得など、メリットは多いと力説する。
現在、研究会の趣旨に賛同し情報開示した企業は約50社(内部開示含む)に上る。本年度内には100社突破を目指す。
「この会社に入って大丈夫かという、求職者の不安を取り除く上でも非常に有効です。まずは自社の状況を〝見える化〟することからスタート。人材採用にあたり情報開示することが当たり前の時代になります」(担当者)
飲めるが飲まない
2020年にアサヒビールが酒の飲み方の多様性を唱えた「スマートドリンキング」の全国認知率が25年度で50%を超えた。同社の全国アンケート調査で判明。
低アルコール、ノンアルコールの需要が高まり、大手メーカーはこぞって商品群を拡充。一方で日本酒は特性上、味わいを保ったまま度数を下げるのが難しいとされている。飲酒スタイルの変化が業界を揺さぶり今、将来へ知恵を絞る時を迎えているという。
県酒造組合などは1月8日、酒類業界新年名刺交換互礼会を開催。広島国税局の辻貴博局長のほか官公庁や県内外の酒造、酒販店など120人が参加した。全国卸売酒販組合中央会の島田憲郷中国支部長は、
「物価高騰、アルコールの健康被害、人口減少に加え、最近では飲めるが、あえて酒を飲まないというソバーキュリアスが広まるなど業界環境は厳しい。造り手は高い技術とプライドを持って良い酒を造っている。国内消費が落ち込む中、従来のような安売り競争ではなく、品質に合った適正価格での流通が求められている」
し合える関係に
東広島青年会議所(JC)は1月13日、芸術文化ホールくららで新年互礼会を開催。乗越雅也理事長(Sky Walker雅代表)が所信表明で、
「今年のスローガンは〝彩響〟(さいきょう)。一人一人の影響力が波のように広がることで彩りあふれる変革が起こる。ウェルビーイングと青少年の育成に注力する。携帯電話を開けば世界の情報に瞬時にアクセスできる時代が訪れ、自分自身で何でもできる気になり、他者に手を差し伸べることを忘れていないだろうか。市と協力し、地域の人同士が〝し合える〟関係づくりに努める」
高垣広徳市長は、
「わが市は昨年、半導体企業の大型投資を迎え、新たな成長のステージに入った。それを支える市民一人一人には能力を生かしながら幸福感を感じてほしい。JCとウェルビーイングの理念を共有し、市を発展させたい」
空き家で農業
思い切って発想を転換すると、行き詰まっていた難問を打開するアイデアが生まれることがある。
空き家が社会問題化する中、マエダハウジング(中区八丁堀)は無理して住み手を探すのではなく、「室内農業」という新しい活用法の提案を始めた。
空き家オーナーから物件を借りて、室内の水耕栽培装置でハーブや葉物野菜を育てる。〝おうちFARM〟と名付け、貸し農園のように一般の人が有料で使えるようにする。昨年11月、八丁堀店に見学スペースを整え、物件の募集を始めた。装置の部材には建築現場の余剰資材を用い、環境に配慮する。取締役の洲浜憲之さんは、
「リフォームに加えて売買でも空き家問題に向き合ってきたが、特効薬はなかった。田舎ほど入居者が見つかりづらいが、休日に家族で少し足を延ばす趣味の場に改装したらうまくいくのではないか。県の環境ビジネス創出事業で兵庫の室内農業スタートアップと話すうちに、これだと直感した。子どもにとって何かを育てる体験は貴重。食育にもなる」
オーナーは維持管理の負担がなくなり、いくばくかの賃料が入る。空き家を有効に生かす広島モデルの普及に自信を見せる。
画家の視点
太陽の位置、天候や季節の移り変わりによって、とめどなく変化する自然の姿が色彩豊かに描かれている。
広島市現代美術館は4月12日まで、自主企画の特別展「エイドリアン・バーグ:無限の庭園」を開催。国内初のバーグ展で、初期から晩年まで一貫して風景画を追求した約50年に及ぶ画業を通覧する。
バーグは1960年代から約20年間、アトリエを構えた英国リージェンツ・パークを繰り返し描いたことで知られる。国内の公立美術館が所蔵する作品は3㍍四方の同館所蔵の「シェフィールド公園1985―86年秋」と東京都現代美術館の「グロスター・ゲート(リージェンツ・パーク)夏、秋、冬」の2点のみ。これら作品と関連資料を合わせて約30点を紹介。
「複数の空間表現や異なる時間軸を織り込んで画面を構成する独自のスタイルは、英国各地の庭園や旅先の風景へと主題が広がる過程でさらなる展開を見せている。関連資料は創作過程が垣間見え、思考の変遷がたどれる。バーグは英語学や教育学を専攻しており、その素地が制作にも息づく」(広報担当)
住み続けたい街
子育てのしやすい街は愛着と誇りが持てる。大東建託の「住み続けたい街 自治体ランキング広島県版2025」の上位3位に府中町、廿日市市、海田町が選ばれた。
5年連続首位の府中町は、イオンモール広島府中などの商業施設や豊かな自然に恵まれる。「街に誇りがある」「愛着がある」「街の住みここち」の3部門でトップ。広島市中心部への交通アクセスが良い割に賃料が安い点も評価された。
廿日市は、未就学児の医療費無料化や保育制度の拡充などが支持された。24年まで10年連続で転入超過。海田町は、小売や飲食店で割引などが受けられる独自サービスを打ち出し、出生率と0〜14歳の年少人口は県内トップクラス。
住み続けたい街にその理由がある。県内でも地域間格差が広がっているのだろうか。
学生と飲食店
安古市町商工会は昨年12月15 日、安田女子大学の学生と飲食店が行ったコラボレーション事業の報告会を開いた。学生らが地元で親しまれている3店舗に出向いて、新メニューを考案。地域貢献活動の一環として取り組んだ。
異なるジャンルの店を選定。▽お好み焼・鉄板焼酒場NOVAろんちゃん、▽Lunch&Diningちかく、▽カフェ ダスティアーツが参加。新メニューは、さっぱりしたトマトとピリ辛のチリソースが特徴のタコス風お好み焼きや、大根の葉も皮も全て使った「ハッシュド大根」などを提案。
インスタグラムを使った物販商品のPRなども行い、イベント出店時の売り上げ増にもつなげた。NOVAろんちゃんの松谷巧巳代表は、
「われわれがなかなか思いつかない、柔軟な発想で魅力的な商品を考えてもらった。感謝しています。少し微調整しながら、春までには商品化したい」
体験学習の枠を超えた人気商品に期待。