その他 2026.01.20

第46回 広経大教授が語る デジタルマーケティングの現在と未来

DX/AIXの取り組み

 DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIX(AIトランスフォーメーション)は、どの企業にとっても未来の話ではなくなりました。業務の煩雑化や人手不足を背景に日常業務を安定させ、売り上げの機会を見つけるための既に身近な手段として根づき始めています。
 DXとはデジタル技術によって業務やビジネスの在り方を見直し、生産性と競争力を高めていく取り組みです。請求処理の自動化、在庫管理の効率化、ペーパーレス化などの改善で現場の負担を軽くします。
 一方のAIXは、AIを業務やサービスに組み込むことでこれまで人手が足りずに手をつけられなかった領域にも新しい価値を生み出します。製造業から観光業、小売業に至るまで、業種を問わず活用は広がりを見せています。
 例えば、ある小売店ではPOSデータをAIに分析させることで顧客ごとに最適な商品を提案する仕組みを導入した結果、リピート率が向上したという例があります。また別の企業では展示会で集めた名刺情報をデジタル化し、来場直後にSNSやメールでフォローを行ったところ、商談化率が大きく伸びたと報告されています。
 どちらも高度な技術や大規模な投資を必要としたわけではありません。既存の業務に簡単なツールを取り入れ、小さな改善を積み重ねただけです。
 まずDXやAIX導入のツール採用を考える際、最初に確認すべきなのは「何のために行うのか」という目的です。売り上げを10%伸ばすことや、SNSのフォロワーを半年で2倍にするなど、測定可能な目標を掲げることで取り組むべき方向が明確になり、投資の効果も判断しやすくなります。
 次に取り組みたいのが、手元にある顧客データや販売データの整理です。どのような顧客が中心なのか、どの層が自社の強みと相性がよいのか。データを丁寧に見ていくことで思いがけない気付きが得られることも少なくありません。その上でプロモーションを考えるのであれば、SNS、ウェブサイト、メールといった複数のチャンネルを組み合わせて発信力を高めていきます。問い合わせ対応やキャンペーンの効果測定、顧客フォローなどの作業は、AIや自動化ツールが支えてくれます。

気軽に試せるツール

 チャットアプリのスラックやチャットワークは、社内外のコミュニケーションを円滑にし、情報共有の抜け漏れを防ぎます。デザインソフトのキャンバのコンテンツプランナー機能を使えばSNS投稿の作成から予約、分析までを一元管理でき、発信の質と量を無理なく維持できます。顧客管理にはハブスポットCRMが便利で、情報を集約しながらターゲット施策やフォローの自動化も可能です。問い合わせ対応では、LINE Botなどのチャットボットが活躍し、営業時間外でも顧客対応を続けられます。特にLINE公式アカウントは利用者も多く、チャットボットの導入ハードルも高くありません。管理画面で「応答設定」を「チャット」に切り替え、「手動チャット+応答メッセージ」を選択するだけで自動応答と有人対応の併用が実現します。専門知識がなくても扱いやすく、まず試してみるには十分な環境です。
 これらのツールには無料プランが用意されており、少人数でも無理なく施策を継続できますので、最初から大規模に導入する必要はありません。小さく試し、慣れたら効果を確かめながら段階的に広げていく。そんな慎重で現実的なアプローチこそが、無理なくDXやAIXを推進する近道になるでしょう。

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PROFILE
宮田 庄悟(みやた しょうご)

宮田 庄悟(みやた しょうご) 1956年1月3日生まれ、和歌山県出身。早稲田大学を卒業し、79年4月に電通入社。東京、ニューヨーク、北京、ロンドンでマーケティング、イベント、スポーツ業務に従事。「ラグビーワールドカップ2019組織委員会」の広報・マーケティングなどを担当。20年4月から現職。

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