インタビュー 2026.01.13

県経済、関税懸念も堅調推移 船舶・M&A・地域開発に注力

広島銀行 / 清宗 一男 頭取

その他の海外情勢については。

 上海駐在員事務所が26年2月に30周年を迎えます。お取引先には中国に拠点を持つ企業や取引がある企業が多く、政治問題が経済活動に及ばないようにしてほしいですね。円安に伴う輸入物価への影響も注視しています。

新年の金利や為替レートをどう想定していますか。

 政策金利は、26年前半までに現状(25年12月1日現在)の0・50%が0・75%まで引き上げられると想定しています。為替は、米国のFRB(連邦準備制度理事会)の利下げで日米金利差の縮小も見込まれますが、円高方向へはそれほど進まず、1㌦145〜150円程度で推移するのではないかと想定しています。輸出企業の社内レートの設定は145円前後が多く、保守的に140円前後で設定されているケースもあるようです。

船舶ファイナンス部増員

広島銀行の26年の注力分野は。

 船舶ファイナンス、法人ソリューション、地域開発ビジネスなどに力を入れたいですね。造船は28年度までの受注見通しが立っている企業が多く、29年度以降の案件が進んでいるようです。政府の重点投資対象17分野にも指定され、ライバルの中国、韓国に対抗するため、①建造量をどう増やすか、②コストダウンをいかに行うかがポイントになります。船舶関連融資は、次世代燃料船のほか、リプレイス(代替建造)需要があります。25年9月期の船舶関連の事業性融資残高は1兆196億円で、地方銀行で2位、国内銀行で4位の規模です。船舶ファイナンス部では25年度2人増員し現在14人体制で、28年度に融資残高は1兆1000億円を計画しています。
 法人ソリューションは、M&Aが24年度に31件成約し、25年度上半期には15件が成約しました。事業承継を含めニーズが高く、M&A・事業承継チームは25年度3人増員し18人体制としました。デリバティブなどの需要も高く、法人ソリューションは25年度85億円、中期計画最終年度の28年度は110億円の収益を計画しています。
 地域開発では、街づくりに関するコンサルティングを行う「ひろぎんエリアデザイン」が、27年度開業予定の呉駅前再開発のほか音戸の瀬戸公園の再整備事業など県内多数の再開発プロジェクトに関与しており、25年9月期の地域開発関連の融資残高は1055億円で、28年度には1500億円を計画しています。また、26年4月にひろぎんエリアデザインの子会社として「ひろぎんリージョナルアドバイザーズ」を設立予定で、再開発案件におけるファンド組成に関する助言を担う予定です。
 有価証券運用もポートフォリオ分析を強化するなど、28年度末の計画である運用残高2兆円、利回り1・1%超に向け順調に推移しています。
 また、25年12月に、ひろぎんHDにて300億円の無担保社債を発行しました。今後、広島銀行へ増資して、地元中小企業向け貸出など、リスクアセットで3000億円規模の運用に対応し、資金仲介機能を強化してまいります。

住宅ローンシェア増目指す

個人向けの戦略はどうですか。

 住宅ローン、資産運用、相続・信託が3本柱です。住宅ローンは24年4月からウェブで仮申し込み、25年10月から本申し込みができるようになりました。住宅ローンの新規実行における県内新築シェアは現在4割強ですが、早期に5割、28年度までに6割を目指したいと考えています。資産運用においては、お客さまと目標を共有し伴走支援するひろぎんファンドラップサービス[MY GOALS]が、25年10月に運用資産残高200億円に到達しました。引き続きゴールベースアプローチを実践していきます。また、NISAも新制度導入などで25年9月期の残高が「ひろぎん証券」と合わせ約1150億円と2年半で倍増しました。ひろぎん証券と合わせた預り資産残高も11兆3000億円に増加し、28年度には13兆円を計画しています。
 24年11月以降、住宅ローンなど個人のお客さま向けの拠点について、「〈ひろぎん〉ライフコンサルプラザ」へ組織再編を進め、現在5カ所・96人体制で、住宅ローンや資産運用の相談に対応しています。今後、ライフコンサルプラザの増設や増員も検討していきます。

人事制度を抜本的に改定

人事制度改定のポイントは。

 広島銀行は25年7月から、①10段階の資格制度の廃止、②「先任職員」(役職定年)の廃止、③職員のコースをP(ゼネラリスト)、M(スペシャリスト)の2区分に集約するなど抜本的に改定しました。個人の能力や適性に応じて柔軟に配置・登用が可能となるとともに、これまで56歳前後で部課長などの役職からはずれていたベテラン行員の活躍も期待できます。本改定は人的資本投資の一環でもあり、賞与を含め約10%の賃上げとなる見込みです。キャリア採用にも注力しており、25年度は50人の計画で、既に40人以上を採用しました。ITやM&Aなど専門性がある経験者も入社しています。
 DXにも力を入れています。AIを融資稟議書作成に導入したほか、個人のお客さま向けの面談準備の効率化にも導入予定です。また、お取引先のDX化を支援する目的で、25年4月にソリューション営業部内にDXコンサルティング組織を新設しました。お取引先の課題を整理し、計画策定から実装までをサポートすることで、生産性向上や成長に貢献したいと考えています。

店舗の戦略は。

 25年11月に高屋支店を新築移転し、26年9月には、愛媛県の三島支店、川之江支店を再編し、四国中央支店を新設予定です。他に27年度までに広島県内で3店舗の建て替えなどを検討しています。

MEJAR参加の進ちょくは。

 横浜、七十七、北陸銀行など5行との役員級、部長級の定期会合を続けています。営業エリアの重複がないことから、営業戦略上の意見交換なども行い副次的な効果も出ています。本格導入に向け、無駄な帳票の整理や融資商品の見直しなどにも取り組んでいます。

国も県もトップ交代しました。高市政権、横田県政に対する要望は。

 政府は半導体、造船、AIなど重点投資対象17分野を掲げました。地元には関連産業も多く、戦略的投資が期待でき、ぜひ背中を押してほしいですね。また、過度な円安はエネルギー、食品など輸入物価の高騰につながりますので、規律ある財政運営をお願いしたいです。加えて、個人資産運用の呼び水として、NISA拡充などを期待したいと思います。
 横田知事には、人口減少、人口流出の中、どうやって広島を元気にできるか、具体的な施策を打ち出してほしいですね。具体的な施策の下、官民が協力して実行していくことが重要だと考えています。

※インタビューは25年12月1日実施

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