ICHIKAWA/市川 二朗 社長
2013年に3代目社長に就き、社名変更などを行いました。
18年に「市川物産」から現社名へ改めました。就任時はリーマンショックの影響などで経営状況が厳しく、商社以外の新たな領域への挑戦が必要でした。その中でエンジニアリングや自社製品といった事業を立ち上げたことに伴い、当社のイメージを単なる商社から一新したいという思いがあったのです。
エンジニアリング事業では、人手不足を受けて需要が高まるロボットと、高層ビルや半導体工場向けの空調動力を主に扱っています。ロボットは顧客の要望のヒアリングから設計、施工、運用・保守までを一貫して担い、自動車関連や食品製造工場などに導入していただいています。空調の方は完全自社開発のインバーターや管理システムを強みに、森ビルが手掛ける全てのビルや羽田空港、ラピダスの半導体工場といった数多くの施設で採用。27年度に東京・千代田区に完成予定の超高層複合ビル「トーチタワー」にも営業展開中です。「日本全国、全てのランドマークに入る」ことを目標に、一層の拡販に努める方針です。
商社や自社製品の取り組みは。
商社では以前からですが「売って終わり」にならないよう、メーカーに匹敵する技術と提案力を磨いていきます。また長年培ったネットワークを生かし、本来なら買っていただく側の顧客の商材を私たちが売るということも行っています。
自社製品の一例としては、トイレと汚水浄化装置を搭載し、災害時に活用できるトラック「S―dash」を企画、実用化しました。他にも海水などを生活用水にできる装置を備えた「We―dash」や、発電機を乗せた車両「E―dash」をラインアップ。創業の精神に沿う商品と位置付けています。
こうした取り組みで目指す姿として「〝できたらいいな〟を〝できた〟に変える、ドラえもんのような存在」と掲げています。多様な製品と技術を武器に、幅広い分野の課題に対する解決策を提示していきたい。
100年の大台が見えてきました。今後の注力事項は。
工事会社のM&Aに乗り出す方針です。例えば先ほど述べた空調動力エンジニアリング事業では、現状は当社と大手サブコンが契約を結ぶものの、実際に施工するのはサブコンから委託を受けた小規模事業者というケースが多くあります。そのような企業をグループに入れることで一気通貫の体制が築けるほか、下請け、孫請けの利益率を改善し、事業の継続性も高められると考えています。実は今月、東京でビル空調の計装工事会社をM&Aしたところです。他の分野でも同様に、設備工事を手掛ける企業を迎え入れたいと思っています。
また27年度に安佐南区の大塚エリアで機械の組み立てなどを行う新工場の稼働を計画しています。これは現在、中区南吉島に構える工場の約5倍の規模となる見込みです。
売り上げの面では100周年の展望として、現在から100億円以上増の350億円を目指します。そのためには、さらなる新規事業が必要となるかもしれません。そこで年明けの周年行事の中で、若手社員による事業コンペを予定しています。ロボットや空調のエンジニアリングも、元々は社員からの発案でスタートした事業でした。次代を担う人材からのアイデアに、大いに期待しています。
PROFILE
市川 二朗(いちかわ じろう) 1971年2月22日生まれ。芦屋大学では産業教育学部に所属する傍ら、日本拳法に打ち込み全日本3位の実績も。家業の取引先である搬送機メーカーを経て27歳で入社。大阪での営業、社長室長などを経験し43歳で父からバトンを受け取った。休日にはトライアスロンなどで体を動かすほか、まだ幼い3人の子との時間を大切にする。