カープの独り言 2025.11.10

幻のホームラン

迫 勝則のカープの独り言/ No.938

 6月。縁あって単行本「カープ不朽のエース物語」を著した。すると幾人かの読者から「打者の話も読みたい」という、ありがたいお話を頂いた。そこでいま来春発売予定の打者編を書いている。ちなみに本のテーマは「記録より記憶」。この中でたまたま、今季カープを退団する田中広輔と松山竜平を取り上げた。この2人には特に多くのページを割いた。
 2016年9月10日。25年ぶりにカープがリーグ優勝を決めた巨人戦だった。この試合で決勝弾を放ったのが松山。そして最後の打球を丁寧に拝むようにして捕球したのが田中だった。現在この試合で先発した在籍選手は、ついに菊池涼介だけになった。次の本でもう一人多くのページを割いた菊池もまた、カープ史に名を刻む不朽の名打者である。
 読者は田中の逸話の中で「球史を変えた幻のホームラン」をご存知だろうか。黒田博樹がカープに復帰した15年の9月12日。クライマックスシリーズ進出を懸けた阪神戦だった。2―2の延長12回に田中の放った一打がセンター頭上を越えてスタンド内にある金網を直撃。この打球がグラウンドに跳ね返ったため、審判団が三塁打と誤審し、そのまま試合を続行した。その後インターネット上で日本中の野球ファンが騒いだ。2日後に日本野球機構は、田中の本塁打を認め謝罪した。ただ試合が成立しているとして記録は訂正せず、この1ゲーム差で4位になるはずだった阪神がCSに進出した。
 その後カープは、この嫌な流れを振り払うかのように翌16年からリーグ3連覇を果たす。田中の一振りが創り出した球史の1ページだった。

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PROFILE
迫 勝則(さこ かつのり)

迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「カープ不朽のエース物語」。

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