精密部品製造などのキャステム(福山市御幸町、戸田拓夫社長)は新規事業の拡大を本格化している。米国関税や米中貿易戦争で半導体需要が不安定な中、新たな事業基盤として期待がかかる医療・健康機器分野は複数の国立大学と共同研究を進めており、2026年秋の発売を狙う。30年までに事業単体の売上高1億円を目指す。腕時計事業は京都の工房を拠点に進行中で、25年末の国際コンテスト出品を経て、26年春の部門設立を予定している。
19年に医療機器製造関連の国際認証ISO13485を取得して同分野へ本格参入。今年4月に立ち上げた社長直轄の「共創開発課ウェルネス開発室」には、金属粉末冶金(やきん)研究で博士号を持つタイ人を含む5人が所属する。半導体分野などで培った微細加工技術を応用し、既存品の上位互換品を手掛ける。例えば大阪大学医学部との研究では手術中の作業補助装置など5〜10点を開発している。今後は高齢化社会で需要が高まる介護・福祉機器、幼保向け機器に加え、健康・美容機器も展開したいとする。戸田社長は「医療関連機器は使い勝手の善し悪しが命に直結することもある。より機能が高い製品を世界展開していきたい」と意気込む。
腕時計事業は、22年に高卒で入社した池田創一郎さんに高校時代から加工機械を貸し出して支援。入社後はスイスで研修させるなど事業化に向けて取り組んできた。また、約5000万円を投じて京都の拠点に精密工作機械を導入。試作品を完成し、25年末〜翌2月に開かれる国際コンテスト「LOUIS VUITTONWatch Prize」に挑む。その後、同事業は自社の宝飾ブランドKOHKOH(コウコウ)と統合し「宝飾・時計部門(仮称)」を設立する計画。デザインと加工技術を融合した製品開発を進めたいとする。
1970年創業。小ロットや高難易度の加工を強みに、自動車、半導体製造装置といった機械向け部品を手掛ける。25年9月にはベトナムで半導体関連の新工場を稼働。27年3月期はグループ売上高100億円を目標に掲げる。