迫 勝則のカープの独り言 / No.930
8月24日。そこまで22試合に登板し6勝14敗だった森下暢仁が登録抹消された。その理由は右肩に張りがあるということだった。今季の彼の投球を振り返ってみたい。
開幕投手に指名された森下は、ルーキーイヤーのように全身を使って力で相手打者をねじ伏せるというような投げ方ではなかった。言ってみれば、チームを背負った〝負けない投球〟のように見えた。ヒットは許すが、なんとか最少失点で抑える。この投球スタイルで6月までに5勝(7敗)を挙げた。
7月4日巨人戦。森下が今季一番の投球をした試合が、その分岐点になった。この時点で既に8勝を挙げ、防御率1 位だった山崎伊織との投げ合いで7回まで両軍ゼロ行進。カープの攻撃で8回1死二塁。新井貴浩監督は森下に代打を送らず、後にこう語った。両エースの投げ合いで「相手より先に降ろしたくなかった」。この打席で森下が粘る。山崎が苦笑いを浮かべながら、必死に森下の内角を攻める。この球を森下がファウルで逃げる。結局、森下は山崎の10球目で空振り三振に倒れた。
直後の8回裏。この力勝負の流れに乗った森下が、代打のキャベッジに真っ向勝負の直球を右翼席に運ばれた。これで0―1。森下の完投負け(8敗目)になった。近年、これほどの投手戦を見たことはなかった。
ここから8月16日までの約2か月間、森下に勝ち星が付く試合はなかった。私の見方では、不振の原因は「あまりに強い責任感」だったように思う。それが硬い表情にも出ていた。これもまた真のエースが通る道。まだ希望は十分にある。
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