スポット 2025.08.28

スポットニュース

経済ニュースからこぼれた気になる話題を記者の視点で紹介。

リーダーの去就

 県政と経済界を引っ張ってきたリーダー二人が共に退く。
 2期6年を務めた池田晃治会頭は10月末で退任。次期会頭に広島ガスの松藤研介会長が11月5日の臨時議員総会で就く。2009年の知事選で初当選以来、4期16年になる湯崎英彦知事(59)は、次の県知事選(11月9日投開票)に立候補しないと表明。あと2カ月に迫っていたタイミングだけに多くの人を驚かせた。後援会の加藤義明会長は、
「私も報道で知り、正直びっくりした。藤田雄山前知事の引退に伴う知事選では多選自粛を公約とし、あるいはという予感もあった。県政に新しい風を吹き込んだ貢献は大きい。このまま政界を引退することなく、新たな活躍を期待したい」

青果物の三方良し

 外食産業向け青果物卸のおおたけ(西区草津港)は昨年末から今年にかけて実施した改装工事で大竹と広島の両工場の機能を拡充。これにより、地元向けの扱いが大きく伸長しているという。
 全国展開する外食チェーンの中四国・九州エリアへのカット野菜の供給に対し、地元向けは加熱や冷凍の加工を施し、人手が不足するレストランやホテル、居酒屋などの調理の手間を引き受ける。笹野圭市社長は、
「卸の基本は必要な量を必要とされるときに届けること。これを徹底するには産地との信頼関係があってこそ成り立つ。北海道〜九州の農業生産法人などと契約しているが、特に野菜は不作と豊作で価格変動が大きく、コンスタントに需要量を確保するためには産地を訪問し、アナログな人間関係の構築が欠かせない。飲食業界は、価格競争で負けない〝安さ〟と、高くても〝価値〟を求める二極化の傾向が一段と強まっていると感じる。こうしたマーケット対応も念頭に置きながら卸先に重宝されると同時に、持続的に採算の取れる農業経営を支えることができるシステムの一翼を担いたい」
 農業と消費者をつなぐ青果物卸の付加価値を高め“三方良し”を追求する構えだ。

適者生存の真意

 機械商社の宝物産(西区商工センター)は6月から就業規則の一部を改定し、年間40時間を上限に1時間単位で有給休暇を取得できるようにした。これまでは1日か半日単位だったが、格段と利用しやすくなったと好評のよう。
 タイムカードを廃止し、磁気カードを使った勤怠管理システムに移行。スマホからも有休申請できる。自動給与計算で経理事務削減にもつながり、一石二鳥の効果。秋森憲造社長は、
「子どもの病院等で急を要するが、半日休むほどではないといったケースに時間単位の有休を利用できる。直行直帰で時間的な融通の利く営業職に対し、総務や事務職などの内勤者は自由が利かない。そうした働くスタイルによって格差が生じないよう配慮した」
 建設・産業機械、空調などを扱う業界では珍しい制度。ワークライフバランスを重視し、今後、育休制度を盛り込む就業規則の内容は社内でいつでも、確認できる。
「入社以来、残業は当たり前で仕事を最優先してきた。時代が移り働き方の意識も変容。創業者の末長等がよく口にしていた〝適者生存〟の真意を知り、時代が求める経営を心掛けている」
 しかし社員や取引先を大切にする創業精神は不変という。

生唐辛子のおいしさ

 10種以上の唐辛子を栽培し、その加工品を販売する、すずきエスニックファーム(廿日市市)は8月から初物唐辛子の収穫と加工を始めた。4月に同市の障害者支援施設「そらまめ」と請負契約。昨年の2倍ほどの収穫を見込んでいる。
 2年前に地元の佐伯醤油の宮島かきのしょうゆに漬けた「唐辛子宮島かきのしょうゆ漬」を発売。昨年は1453瓶に増産し、加工品用ネットショップも開設した。代表者の鈴木隆之さんは、23年間のサラリーマン生活を経て独立し、唐辛子「廿日市ペッパー」を栽培。2018年の唐辛子の生産量は全国で169㌧。国内消費量の1・7%にとどまり大半が乾燥物という。
「唐辛子の収穫は11月下旬まで。加工品をきっかけに、水分が90%近くの生唐辛子のフレッシュなおいしさを広めたい」

在宅の法務部員

 ハラスメントに関する報道が絶えない。全ての企業に相談窓口の設置が義務化された2022年以降、厚生労働省の実態調査では回答企業のうちパワハラ64%、セクハラ39%、カスハラ27%の相談があった。
 こうした中、弁護士法人リーガルジャパン(中区紙屋町)は通常の顧問業務に加えて社内ハラスメント相談や内部通報への対応、マニュアル整備などの一括支援サービスが伸びているという。増加率は顧問契約全体で24年に前年比13%、25年は同23%。蓮見和章代表社員は、
「窓口を置いただけで体制やマニュアルに不備があれば、告発者を守れずにセカンドハラスメントを起こしてしまうかもしれない。チャットなどを活用しながら、弁護士が〝在宅の法務部員〟として随時関わり、初期の段階から法的リスクを洗い出す」

特性を生かす

 みんなちがって、みんないい。

 童謡詩人の金子みすゞが詩に託した言葉で、それから100余年。障害のある小中高生が通常学級に在籍する通級指導は2023年度に20万人を超えて過去最多となった。徐々に社会の受け入れが進むが、障害者の個性を生かせる仕事はまだ足りないという。
 強いこだわりや過集中、独創性といった特性を生かし、障害者の自立や社会進出を促そうと、昨年8月に活動を始めたSwitch(東広島市)は今、障害がある4人のアーティストを中心に交流事業を加速している。
 3月に壁紙製造のクレアネイト東広島工場の製造過程で発生する廃材を活用し、広島空港で平和に関するアートを展示するなど、これまでに10回のイベントを実施。県内の高校や企業、東広島市役所でも展示や販売、体験事業を開催し、作家と市民が交流する場を設けてきた。今年度は11月までに24件を計画。11月22日には障害者だけでなく、生きづらさを感じる人を対象に公募制の芸術コンテストを開く予定だ。大世渡渉社長は、
「障害者と関わる機会がなければ、そのときに接し方さえ戸惑う。子どもと接する機会をつくり、自然と社会に受け入れられる環境を醸成したい。介助する家族がいなくなった後を見据えて経済、社会的な自立を応援。少しでも役立つことができれば、うれしい」
 アーティストの活躍に期待を寄せる。

選択肢増やす

 昨年10月からデザインと機能性を備えた福祉下着の企画・開発・販売を手掛けるルエイル(中区)は、おしゃれな出産後用のショーツを開発してほしいという声を受け、来年4月に産じょくショーツ「ルエイルバース」を発売する予定だ。
 社長の新藤杏菜さんは17年前、膠原(こうげん)病の一種の全身性エリテマトーデスを発症。その後に車いす生活を送る自身の経験を基に新製品の試行を重ねている。広島市産業振興センターの「令和7年度新規ビジネス事業化支援事業」に採択。防水、消臭性などを備えた4層構造の生地にさりげなくかわいらしい高伸度レースを施すなど機能性を重視し〝着用して気分が上がる〟仕様を描く。カラーとサイズ共に複数展開で、価格は1着3980円(税別)を予定。自社ECサイトなどで販売し、5年後に年間販売枚数1万枚を目指す。
「私が過去に福祉下着を見て『ここの尿取りパッドが目立たなければいいのに』など、デザインの選択肢の少なさから抵抗を感じたことがあった。経験を生かしデザイン面も入念に模索。誰もがおしゃれを楽しめる商品に仕上げたい」
 産じょくショーツの使用期間は長い人生のうちでも数日〜数週間程度に過ぎない。母親になると大半の人が処分する。しかし出産の思い出にと保管し、使い続ける人が増えるかもしれない。

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