迫 勝則のカープの独り言 / No.926
猛暑の7月。カープは何度も不本意な敗戦を重ね、首位争いから離脱した。このとき多くのカープ解説者が訴えていたことがある。それは「なぜ打順を猫の目のように替えるのか」。新井貴浩監督はほぼ毎試合、日替わりで打順を組んだ。
その頃に同じ指摘をした番記者に対する監督の答えは以下のようなものだった。「固定して戦うのが理想だが、がっぷり四つに組んで〝よし来い〟という感じではない。動かしてリスクを覚悟し、起用も采配もやっていかないと…」。監督の言葉は聞こえこそ良かったが、今のカープの順位と日替わり打順が無関係とはいえないような気もする。私はシーズンを通して日替わり打線で臨んだチームが優勝したケースを知らない。
そもそも打者には大きく分けて二つのタイプがある。一つはあまり複雑なことは考えず、直感で打ちにいくタイプで、小園海斗や大盛穂らがそれに該当する。もう一つはあらかじめ攻略法を決めて打席に入るタイプで、坂倉将吾や菊池涼介がそれに当たる。特に後者の打者にとって、日替わり打順は厳しい。打順に合わせてその都度、打ち方を変える必要があるからである。
現時点で首位を走る阪神の打順を見てほしい。1〜5番がしっかり固定されているので、多くの試合でまるで同じ映像を見ているように得点を重ねる。いろいろ考え方があって良いと思うが、カープは前半88試合だけで71通りの打順。かつて「4番・新井」がそうであったように、せめて4番を、できれば1、2番も固定してほしい。本当の強さを得るには、多少の我慢が必要である。
PROFILE
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」