地域経済 2025.08.07

広島県農林水産局 畜産と水産が合同グルメフェア

持続可能な〝一次産業〟後押し

 生産者と流通事業者、料理人が一体となって、瀬戸内海の魚や県産ブランド牛を生かしたグルメを創出〜消費拡大し、地域活性化につなげる事業が広がりを見せている。県農林水産局の畜産課と水産課がそれぞれで仕掛けてきた企画を初めて連携し、8月末まで対象54店で食事をすると抽選で20人に賞品が当たる「瀬戸内さかな&比婆牛プレミアムグルメフェア」を実施。県出身の奥田民生さんと吉川晃司さんが応援団長を務め、広島の食の魅力を発信する首都圏等でのプロモーション「OK‼広島」(6月17日スタート)の受け皿も担う。

 水産課は、魚種が少量多品種の瀬戸内海の特性と年々変化する魚種や漁獲高をにらみ、魚ではなく漁師に焦点を当てた〝瀬戸内さかな〟ブランド化構想を描く。漁場を選び、漁法を工夫し〝血抜き〟など下処理を施して鮮度を保つ職人技を発揮する「こだわり漁師」を軸に、2022年度から流通事業者や飲食店と一体となって料理の提供に着手。消費者に届く魚の価値を高め、瀬戸内さかなの認知と評価を拡大させる狙いだ。
 市中央卸売市場で荷受けの広島水産と広島魚市場の協力を得て、1月から毎週金曜に特別競りを開き、広く多くの需要層に届ける流通を促す。一方で、こだわり漁師と対話を楽しむ食の体験会などを連動させながら、事業に共感する飲食店を増やしてきた。こだわり漁師は7月現在で鹿川、倉橋島、深江、阿賀、音戸、広など各漁協18組21人。徐々に増える傾向という。飲食店は市内を中心に大竹、廿日市、江田島、東広島、呉へエリア拡充を進めている。
 今年度は、こだわり漁師の技を評価し価値を波及させるため、飲食店とのマッチング品評会を実施。引き続き、事業参画するエリアや店舗数を拡充する。加えて、これまでの事業を通じて獲得したファンによる情報発信・拡散を目論み、収集・分析した声を事業に反映させ、ファンコミュニティーづくりを目指す。
 比婆牛は庄原市で約180年前から受け継がれている日本最古の四大蔓牛「岩倉蔓」がルーツ。2021年に県産和牛全体のブランド価値向上に向けたプロジェクトを始動。食味など肉質は高い評価を得る一方、需要に対し供給量が少ないという課題があった。23年に各国首脳に食されたG7広島サミットを機に、県内外への認知度が高まり、一定の流通安定化が図れた。昨年度は料理人の腕で比婆牛のうまさが際立つ料理を創作してもらい、流通関係者、肥育経営者との価値連鎖を構築。「比婆牛ファン」の拡大に努め、小間材など流通課題部位を使ったレトルトカレーの商品開発も進めた。
 一連の取り組みで大口取引や一般ニーズを掘り起こしたものの依然、流通課題の解消には至っていない。近年は年間出荷約150頭の横ばい推移が続き、需要先は主に地元消費が中心。広島市内の飲食店向けは、旧JA庄原を通じた限定的な流通にとどまっている。今年度は従来の流通に加え、県内仲卸業者を通じた広島市内を中心とするルートを構築し、取り扱い機会の拡大につなげる。さらに流通課題部位の活用へばら、小間材、うで、そとももの4部位を対象に商品提案を公募。今年度は土産品ラインアップ拡大へ8月末まで和食と洋食の2部門で加工品レシピを募る。ブランド価値向上と生産頭数拡大の両輪で比婆牛ブランドの普及・浸透を目指す。
 瀬戸内海地魚と比婆牛のプロジェクトは、G7を機に発足した広島の食文化の発展的継承を目指す県のプロジェクト「おいしい!広島」の一環として継続。生産者・流通・飲食店を巻き込みながら徐々に成果を上げ、持続可能な一次産業の起爆剤として期待される。

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