民泊の思い出
体験型修学旅行誘致事業を推進する広島湾ベイエリア・海生都市圏研究協議会(池田晃治会長)の本年度通常総会が7月2日、市内ホテルであった。
前任の中村成朗さんから運営委員長を引き継いだ矢先、コロナ禍に見舞われた佐伯正道さんは、
「令和に入り、2019年には民泊で過去最高の修学旅行生1万5000人超を受け入れ、2万人を視野に捉える勢いだったが、コロナ禍で21〜23年は中止。日帰り体験のみ受け入れを実施したものの、中山間地域や島しょ部で危機感が強く、受け入れ先の8地域協議会は非常に慎重な姿勢を示された。安全確保のため広島県観光連盟の抗原検査キット購入費用の補助を活用し、23年に民泊の受け入れを再開。一方で受け入れ家庭が減る中、広域連携も図り、6月に広島市湯来町が非会員だが隣接する廿日市市吉和と初めて共同受け入れを実施した。広島の平和学習とのセットで市内泊の実績も増えており、教育旅行のニーズは高い。広島を訪れる修学旅行生はだんだん右肩上がり。コロナ禍前の水準までに戻していきたい」
昨年度は76校7132人(総泊数1万2989泊のうち民泊6673泊)、今年度は7月10日現在で61校7220人(民泊7641泊)を受け入れ予定。広域連携を図り受け入れ地域や家庭を増やす方針だ。何よりも中高生たちの心に刻まれた民泊体験の貴重な思い出が次代へ伝承される効果は大きい。
売れ続けるワケ
広島海苔のかき醤油味付けのり、田中食品の旅行の友、大崎水産のフィッシュスチック、ヒロツクのこもち昆布等々。7月16、17日に西区の市中小企業会館であった中村角(西区草津港)グループ主催の「秋冬食品総合展示会」で、なじみの商品の知られざるエピソードを紹介。来場者の関心を集めた。
営業企画部の木原啓子課長は、
「定番ながら意外と知られていない商品の生まれたきっかけやこだわりを、それぞれのメーカーに取材し、まとめた。今年は被爆80年、カープのセ・リーグ初優勝から50年という節目の年。改めて地元の食の魅力を見直したいと〝ぶちうまい広島〟をテーマに逸品や今注目の味なども集めた。三島食品のゆかりは原料の赤シソから新品種を開発。たゆまぬ挑戦の日々が定番を支えていると実感しました」
坂井屋、出野水産、三宅水産の〝がんす〟、お好みソースや刺身しょう油も各社味比べを提案。メーカーブースでは水産加工品をはじめ日配・チルド、常温、業務用の計203社が出展。中村一朗社長は、
「待っていても地域の仕入先情報はなかなか入らない。こちらから出向き、魅力ある食品を探し出すことが、われわれの役目」
価格競争に巻き込まれない、地域の食文化に目を向けた卸機能を磨き続ける。
空と海のゴンドラ
過去最多の来島者に沸く宮島。大鳥居に続き厳島神社の屋根や回廊、五重塔の修繕が進む中、弥山の眺望が魅力のロープウエーも来年3月から新たな装いで観光客を迎える。
18年ぶりに獅子岩線(榧谷駅―獅子岩駅)のゴンドラ(客車)全2両を入れ替え、定員30人から35人に増やす。真言宗を開いた空海にちなみ、デザインは空と海をイメージ。ロープウエーを運行する広島観光開発の田村智康社長は、
「島内観光は滞在時間の短さが課題。表参道や厳島神社から弥山へと足を延ばし、豊かな自然環境を味わってもらいたい。経営理念の第一に輸送の安全確保を掲げており、強風時などは早めに上り便を運休することで乗客が山頂に取り残されないよう配慮。紅葉谷線では鉄塔を改修するなど施設の維持整備に努めている」
昨年度は全社員対象の安全管理講習会を18回開き、救助訓練を2回実施した。社員教育の徹底こそ、経営のリスクを防ぐ最善なのだろう。
テクシード30周年
ビル・マンションの大規模修繕・耐震補強や建物調査・診断などのテクシード(東区戸坂新町)が7月で創立30周年を迎えた。18日にANAクラウンプラザホテル広島で開いた祝賀会で事業発展の決意を新たにした。
奥河内貴明社長の実父、博夫さんが47歳の時、脱サラで自宅の一室から夫婦二人三脚で始めた。半年間は売り上げが立たなかったが、初めて受注した案件は15万円。だが、サラリーマン時代とは比較にならないほど重みを受け取った。
奥河内社長は、
「今ある建物を大切にし、長く使い続ける。30年前の創業当時には珍しかった建物の〝調査・診断〟分野だったが、この考えがぶれることなく、誠実に修繕と補強工事を積み重ねてきた。私自身は先代が亡くなる1年前に社長に就き、その後、県から優良建設業者や優秀技術者の表彰も受けた。これからも、創業の精神に恥じない仕事を続けていく」
県内ではいち早くリノベーション工事を手掛け、弟の史明常務が一般住宅向けニーズに応え、口コミで仕事が絶えない。
「先代から聞かされた話がある。欧州の街並みは時を経ても変わることがないが、建物に入ると住む人の好みに合わせてリノベーションされており、何より快適に生活する価値、機能を大切にしているという。ここがわれわれの原点です」
当日は、広島ドラゴンフライズの朝山正悟ヘッドコーチが経験に基づくリーダーシップ論をテーマに基調講演を行った。
瀬戸内産で手作り
若い人の発想と行動力が高齢化の進む農家に新たなモチベーションをもたらしているよう。呉市下蒲刈町下島で瀬戸内産かんきつ類を使ったドレッシングやたれなどをつくる「島の屋」代表の濱下杏奈さん(39)は、
「祖父がレモンなど、かんきつ類を段々畑で栽培していたが高齢で継続が難しくなり、私が一部を引き継いだものの出荷基準に満たないものは廃棄。もったいないと思っていた。保存料・化学調味料無添加、手絞り、手作業で1日一人300本を3人体制で丁寧につくっている。アンテナショップや道の駅などで扱ってもらい、商品の種類や生産量を増やすにつれ足りなくなった原材料を当初、無料で譲ってもらっていたが、今は有料で引き取っている。高齢農家の方には新たな収入になると喜んでもらっている」
下蒲刈島特産の姫ひじきやみかんを使ったタイプやレモンのすし酢、シロップ、ジャムなどを商品化。4月には呉市中通にレモンラーメン店「島そば丸屋」をオープンした。下蒲刈町の和食の店「丸谷」は完全予約制。瀬戸内の幸で夫が腕を振るう。