広大発ベンチャーのプラチナバイオ(東広島市鏡山、奥原啓輔CEO、以下Pt社)は東南アジア展開の拠点として、9月をめどにマレーシアで100%出資の現地法人を本稼働する。Pt社はDNAの狙った文字列だけを切断し修復させる過程で意図した通りに書き換える「ゲノム編集」と、そのターゲットを選定する高精度なゲノムデータの取得や解析などの「バイオDX」が強み。現在の資本金は2億5365万円で従業員41人。2028年度以降の上場を目指す。
同現地法人を足掛かりに、東南アジアの社会課題を解決するビジネスを展開したい考え。例えば多収量のヤシやCO2吸収効率の高い藻類を選抜するために、遺伝的特徴を解き明かし特定できるバイオDXを用いる。パームオイル加工後の殻をバイオ燃料に活用する研究も進める。既に同国のコングロマリット(複合)企業サンウェイグループの教育・研究機関や国立トップのマラヤ大学と共同研究契約を結んだ。
マレーシアは他の新興国に比べて高度教育を受けた人材が多く、英語が通じやすいことから活動拠点に選んだ。現地法人は3月に設立し、本格活動へ博士号修了者の採用や人材育成に動く。資本金3000万円を予定。経済特区サイバージャヤのイノベーション企業集積施設に入居し、ネットワーク構築を図る。広島県の進出促進事業を通じて連携する、リバネス(東京)のマレーシア子会社代表を務めるハキーム氏が代表を兼務。奥原CEOは「現在の東南アジアでゲノム編集が普及する土台は不十分。まずはバイオ分野のDXを推進しつつ、啓発に力を入れて法整備にも寄与したい」と話す。ほか北米、インドを優先的に開拓する方針。
ゲノム編集で助成13億円採択
ゲノム編集の分野ではアレルギーを引き起こす原因物質を低減した卵の開発に成功しており、社会実装に向けて農林水産省基金事業から23〜27年度に総額13億円の支援を受ける。同社の新たなゲノム編集ツール「ZF―ND1」はDNAの対象文字列を切断しやすく他に影響を与えづらいため、安全性の高さから品種改良だけでなく遺伝子治療や細胞治療への応用も見込む。24年には高感度・精度でゲノム編集活性測定を行うソフトウエア「PtWAVE」を無償公開。従来の方法では検出範囲外だった欠失や挿入を見つけられる。意図した通りに〝生物機能をデザインする〟事業を強みに発展を描く。