広島テックプラングランプリ、バーナー開発しCNへ
広島大学大学院先進理工系科学研究科の金佑勁准教授(反応気体力学研究室)はチーム「Metal Power」による金属粉体燃焼技術で、第5回広島テックプラングランプリ最優秀賞を受けた。カーボンニュートラル(CN)に向け、石炭に替わるエネルギー源として鉄粉など金属を安定的に燃焼させる粉体バーナー技術を開発。鉄粉燃焼で発生する熱を使って酸化鉄を還元し再利用する循環型エネルギー技術の確立も図り、企業との連携による実用化を目指している。
現在世界のエネルギーは8割を化石燃料に依存し、気候変動対策などで再生可能エネルギーへの移行の必要性が増す。一方、再エネは生産量の変動や貯蔵・輸送の地政学的制約など多くの課題を抱えている。鉄粉・アルミ粉などの金属粉体は炭素を含まず、コスト競争力があり、リサイクル可能な上、コンパクトで長距離輸送や長期貯蔵可能のメリットがある新エネルギー源として、2017年から研究を始めた。
19〜20年にJAXAの競争的資金に採択され、宇宙環境で実証試験した。微小重力下での粉じん爆発の燃焼メカニズムを解明し、エネルギー効率向上などのノウハウを蓄積。広島県のカーボンリサイクル関連技術の研究・実証支援制度にも採択された。オランダ、カナダ、仏、独の大学や研究機関と共同研究を実施。オランダの大学は実証試験用500㌔㍗級の金属粉体燃焼発電プラントを設置し、ベンチャー企業を設立している。日本でも産学連携による実験プラントの設置に加え、CEO人材を募りベンチャー企業の立ち上げを目指す。
金准教授は韓国出身で、留学先の東京大学大学院で博士号(工学)を取得し、英国アルスター大学水素安全研究センター研究員、広島大学助教を務めた。専門は燃焼工学、安全工学で、水素安全、ガス・粉じん爆発、微小重力燃焼なども研究。広島大では「内燃機関」、「カーボンニュートラル推進科学」などの授業を担当している。