迫 勝則のカープの独り言 / No.914
今季の床田寛樹は、また〝ひと皮むけた感〟がある。どの試合も内容が良く、4月26日DeNA戦は被安打4で完投しバットでも自身2度目の猛打賞を達成。ただ得点にはつながらず0―2で敗れた。
圧巻だったのは4月12日巨人戦。7回2死一、三塁の大ピンチで大城卓三を打席に迎えたときだった。初球のスライダーの後、151㌔と149㌔の直球を投げて空振り三振を奪った。私も驚いたが、翌朝の新聞には「床田うなる直球」という文字が躍った。この試合は1―0で床田の2年ぶりの完封勝利になった。
今季、彼が目指すのは「先制点を与えない」、「先頭打者を出さない」、「無駄な四球を与えない」という。しかし私はその三つに加え「緩急をつける」、「ピンチでギアを上げる」の二つを感じている。つまり走者がいないときは、基本的に力を抜いて緩急でかわす。一方で走者を背負うと一転、直球を軸にして全力投球。この切り替えが見事なのである。彼はこの投げ方に徹しているので、優に7、8回まで投げられる。うまくいくと完投も可能だ。5月3日中日戦では3安打の完封勝利。カープの連敗を7で止めた。
彼の投球は、他の投手から教わった握りで投げるさまざまな変化球と、無駄な間を取らずにテンポ良く投げるリズムが心地よい。昨季は開幕から18試合連続でクオリティースタート(6回以上自責点3以下)を達成。そして2年連続で2ケタ勝利(ともに11勝)。今季から背番号を「19」に変えた床田は「右の森下暢仁、大瀬良大地」と並び、もうすっかり「左のエース」である。
PROFILE
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」