広島電鉄は稼ぐ力と財務体質を強化する。2025年度を着地点とする3カ年経営計画で①営業収益、②営業利益、③純利益、④収益力の指標となるEBITDA(営業利益+減価償却費)に対する有利子負債倍率という4項目全ての目標を達成する見通しだ。
カギを握るのは同3カ年計画に合わせて推進するキャッシュマネジメントシステムのターゲットバランスだ。グループ各社の預金残高を調整する仕組みで、子会社によっては寝かせていた資金を親会社の広島電鉄に集め、24年度に資金集中率75%を達成。25年度は計画通り90%に引き上げる。これによって、将来にわたり収益を上げるための効果的な投資を包括的に行いやすくなった。設備投資額は21年度の37億円や22年度の52億円と比べ、23年度に67億円、24年度に90億円へと拡大。仮井康裕社長は「今年8月開業の駅前大橋ルートや来年の循環ルートの整備に多額を投じているが、県内外の人をワクワクさせ、外出や移動の機会を増やすことで乗客増加を狙う。循環ルートで貸し切り周遊電車を走らせるアイデアなどがあり、観光振興を図る」と話す。24年度の投資額の内訳は駅前大橋ルート整備に28億円、新乗車券システムに16億円、超低床電車の導入に10億円、バス車両代替に10億円など。今期も同様に投じる。
設備投資などに伴う減価償却費と営業利益を合算したEBITDA(同社はバス運行補助金も加算)は稼ぐための力の指標の一つとされ、これが拡大したことでEBITDA有利子負債倍率が22年度の18・2倍から25年度は7倍に改善するという(小さいほど健全)。より少ないキャッシュフローで有利子負債を返済できるなど、財務体質が強化される。営業キャッシュフローは50億円強。24年度の自己資本利益率も前年度比2倍の3・31%と大きく改善した。資産を有効活用しながら利益につながる事業活動に成功している。
前期決算は増収、純利益2倍
25年3月期連結決算で営業収益は前年比10・6%増の337億円となり、4期連続で伸長。観光客の急回復や運賃値上げで運輸業が4・9%増の210億円だった。一方で各種コストが増え、全体の営業損失は約3億円大きくなり14億円強に。バス事業者などは赤字路線の補助金を受けるのが一般的で、この22億円弱などを加味した全体の純利益は2倍の14億円弱だった。分野別ではイオンタウン楽々園への土地賃貸しや分譲マンション引き渡しがあった不動産業に加え、駅前大橋ルートの整備や民間受注で堅調な建設業が利益を押し上げた。退職給付制度で、損金算入ができる確定拠出年金の比率を30%から50%に高めたことによる改定益2億円などもプラス要因。有利子負債などが増えて自己資本比率は1・2ポイント減の40・1%。
今期業績予想は駅前大橋ルートの開業効果や南区大須賀町の分譲マンション「ザ・広島フロント」の引き渡しで営業収益355億円強、営業損失6億円強、純利益13億円強。いずれも同3カ年計画の目標を上回る。