迫 勝則のカープの独り言 / No.912
このところカープの先発投手が好調だ。野球の楽しみ方にもいろいろあるが、意外に面白いのが息詰まるような投手戦である。各投手が自分の勝負球をどのように使って、打者をどう打ち取るかが楽しめるからである。
カープ先発3本柱(森下暢仁、床田寛樹、大瀬良大地)で書くならば、まずは森下。彼の場合はホームベースの四隅に糸を引いたように決まる150㌔前後のストレートが魅力である。彼の直球は普通の投手よりも回転数が多く、見た目にも美しく見える。森下はこのストレートを勝負球として投げるために、チェンジアップやカーブでカウントを稼ぐ。
床田の場合は、主に2種類のツーシームを投げ分ける。それ以上に私が好きなのは、割合が10%にも満たないパームボールである。打者は、その球がいつ来るのかと警戒させられる。この極端に緩い変化球によって打者の体を前(投手側)に引き出し、フォームを狂わせる効果もある。近年、少し投球スタイルが変わってきたが、好調時の大瀬良のカットボールも捉えにくい。カットボールはストレートに近い球速で、打者の手元で小さく変化する。リリースの時に〝切る〟ようにして投げることからその名が付けられた。
一方でプロ野球の世界というのは、勝負球を投げ続けるだけで簡単に打者を抑えられるようなものでもない。相手チームもやられたら、すぐに対策を打ってやり返してくるからである。そうなると、投手はそれをさらに上回る対策を練らなければならない。投手戦は、奥が深くて目が離せない。
PROFILE
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」