巻頭特集 2024.04.25

Vol.3 激動のスーパー 生き残りの一手

イズミ / 三家本 達也 副社長にインタビュー

Vol.3 激動のスーパー 生き残りの一手

スーパー業界の再編が加速している。中四国地方の両雄、イズミ(東区)とフジ(南区)は同業との経営統合、M&Aなどで激しいシェア争いを繰り広げる。人口減少、原料や人件費の高騰、EC(通販)やドラッグストアの台頭など業界を取り巻く環境は厳しい。地場各社は地域密着、サプライチェーンの再構築、デジタル化などの観点で強みを磨き、選ばれる店づくりを進める。

九州でM&A加速 価格訴求品を拡充、新業態も検討

-事業環境の受け止めは。
環境は厳しいが、逆にチャンスと捉えている。実際にこの難局を乗り越えようと、社内で従来の縦割りを脱し、他部門と連携して解決策を見つけようとする動きが出てきた。オーナー経営でありながら、各部門が自ら考え行動する社風に変わってきたのは大きな成果だ。2021年に始めた選抜型研修「イズミ大学」の70人の受講生を中心に、四つの新規事業プロジェクトが進んでいる。一例として、路面や他社の商業施設にテナント入居の形で出店を計画している。商材は未定だが、当社の得意とする分野を打ち出し、2~3年内に第一号を出店したいと思っている。
-M&Aを強化しています。
7月に経営戦略課を副社長直轄の投資推進事業部に昇格。西日本エリア全体でM&Aを強化する。一環として8月、同業の西友が九州で展開するスーパー「サニー」など69店を承継する。当社の企業買収として過去最大の規模だ。用地不足や資材高騰で新規出店が難しい中、人口が増加傾向にある福岡市を中心に、駅前などの好立地を確保できる点がメリット。営業収益1兆円の達成に向けた大きな足掛かりになると確信している。運営は子会社の「ゆめマート熊本」が担う。地域住民に親しまれてきた屋号は維持し、仕入れや販促のスケールメリットを生かして効率的に運営する。
これに先立ち1月、大分県で4店を展開するサンライフの完全子会社化を発表した。今後もM&Aや業務提携を強化する。企業規模の拡大ではなく、市場占有率の向上が目的だ。広域型ショッピングセンターと小さい商圏に向けた食品スーパーを組み合わせて、店舗間の密度を高めていく。人口増が期待できる地域は少ないが、一定のマーケット規模がある地域や未出店エリアを中心に進めたい。
-出店の展望は。
建築コストの高騰などを背景に26年までの中期経営計画を見直し、新店出店を抑制して既存店の活性化に投資を振り分ける方針に変えた。23年度は190店中48店をリニューアル。近隣にない店や、話題になっているような〝鮮度の高い〟テナントを誘致。同時に直営の衣料品、靴などは「ショップ化」を進めた。商材ごとに売り場を独立させ、個店のような専門的な雰囲気を出した。さまざまな商品を扱うゆめタウンなどのGMS(総合スーパー)で売り上げが前年比で4~15%増えた。SM(食品スーパー)も3~28%増となった。

手ごろな価格のバジェット商品を拡充

-価格を訴求する「バジェット商品」の売り上げが好調です。
水、調味料などの目玉商品を魅力的な価格で提供し支持されている。原材料を厳選する、店の近くで製造して物流費を下げる、といった工夫でコストを下げ、例えばナショナルブランドで100円する菓子などを60~70円で販売している。コストを下げるため利幅も確保できる。物価が高騰する中、消費者の低価格への要求は強く、23年度は57億4000万円を売り上げて25年度に40億円としていた目標を前倒しで達成した。今後もラインアップの拡充を進め、今期に70億円、25年度に100億円を計画している。
-モール内に図書館を誘致するなど、行政との連携を強化しています。
ネットショッピングが一般化する中、リアル店舗の役割は買い物をする場所から人が集う場所へと変わっている。こうしたコミュニティー機能の強化の一環として、リニューアル時に市立図書館を誘致したゆめタウンシティモール(熊本県荒尾市)は市民の交流の場となり、順調に来館者数を伸ばしている。このほか、行政の出先や子育て支援センター、市営の遊び場、郵便局などの事例もある。
また、主に催事の売り場に使っている各店の広場で小学校の発表会、行政による防災訓練、地元企業による新商品発表会などを行いたい。ゆめタウンに行けばいつも何かをやっているという状態が理想だ。

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