その他 2022.07.07

小林カズヒコの経営者のための実践マーケティング講座 第37回

ネット広告の落とし穴

 ネット広告はやったほうがいいのか、との問い合わせが急増しています。大手企業の中にはこれまでの4マス広告を全廃し、ネット広告に完全シフトする動きもあり、期待度は高まっています。しかし「よそがやるならうちも」という安易さでは望むレスポンスは得られませんし、ネットを使った広告手法の全般に、いま大きな懐疑の目が向けられているのです。
 例えばこんな経験はありませんか。ある商品を検索したり、そこに表示されたネット広告をクリックした直後から、関連する商品のネット広告が続々とアップされるようになった。自分のスマホやPCを誰かにのぞき込まれているような気持ち悪さを感じられた方も少なくないでしょう。これは閲覧データを基に利用者の趣向を分析して特定した上で、関連広告を自動で送りつける「追跡型」と呼ばれるターゲティング手法であり、多くの企業が利用してきました。顧客接点確保の生命線ともてはやすマーケティング専門家もいますが、受け取る側の心情を無視し、プライバシーに土足で上がり込むような厚かましさに、果たしてどれだけの支持が得られるでしょうか。
 提供する意思がなかったり、実際は存在しないものを宣伝する「おとり広告」、評価の仕方が不明瞭な一部グルメサイトなど、ネットのブラックボックスぶりも次々と露見し、消費者はうんざりし始めています。さらに懸念すべきはネット広告の膨大さ。まるで「関ヶ原」のような玉石混交の超過密状態にあり、この中で存在感を競うなど潤沢な広告料やネームバリューがある大企業ならまだしも、中小企業にはエネルギーの無駄づかいになりかねない。以上、いま私が全クライアントにネット広告を推奨しない理由です。

信用こそが究極の通貨

 今後、プライバシー保護、景品表示法順守の観点から、ネット広告にもなんらかの規制がかかることになるでしょう。もちろんネット広告が全てダメというのではなく、状況を見極め、適時必要と思われれば使われてもいいと思います。
 それより、いまこそ原点に立ち返りませんか。顧客が自社とつながりたい、またそれを継続したいと思うようにするにはどうすべきかに目を向けましょう。マーケティングはネット広告、DXありきではない。これらは道具にすぎません。また、価値のないものを言葉巧みに売りつけたり、月にいくら売ったというような最大瞬間風速を目指すものでもありません。
 私たちは、売り方・伝え方と同時に、顧客を常に自分の目で観察し、技術、クオリティ、ホスピタリティ、アフターケアの全局面、額に汗してアップデートを行うことが、ますます重要と考えます。
 近代マーケティングの父、コトラーもこう言っています。「信用こそがマーケティングの究極の通貨となる」と。

読者からの相談

Q:広報担当だけでなく、売り場スタッフにもコピーライティングを学ばせたいと思う。なにかよい方法はあるか。
A:同様の問い合わせがいくつかあったので、今年10月より市内中心部のカルチャーセンターでコピーライティングのグループ3カ月集中講座を開講することになりました。詳細が決まればお伝えします。

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PROFILE
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小林 カズヒコ 
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com

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