知ると知らないとで天国と地獄のスキル
私がコンサルを請け負う際にマーケティング助言と並行して最初の3カ月間、経営者またはマーケティング担当者にやっていただく特訓があります。それはコピーライティング技術の修得。以前は任意でしたが、コロナ禍以降は必須カリキュラムとしました。理由は二つです。
①商品やサービスのウリやメリットを「刺さる言語で表現する」重要度の高まり。
②他社が発しているコピーから、とるべきカウンター戦術を見極める審美眼の確保。
①は世の中を見れば歴然でしょう。ご自宅でテレビを見るシーンを思い浮かべてください。一部の高齢者を除き、リアルタイムではなく録画したものを早回しで、しかもスマホを持ったままの「ながら見」が日常になりつつあります。電車に乗っても、レストランに行っても、ほとんどの人がスマホの画面をのぞき込んでいる。今や消費者に忍耐強さはありません。溢れかえる情報の中で、知りたいモノコトを直観的に取捨選択している。さらには、興味の対象ですら刻々と優先順位が変わっているのも特筆すべき傾向です。
こんな状況下で、伝える工夫のない表現、商品名や会社名の連呼では、目に留めてもらうのは不可能。ターゲットとするお客さまに、あなたの商品やサービスが他社に比べて圧倒的に価値があるということを瞬時に分からせなくては勝負にならない。それには言葉の武器、つまり精度の高いコピーの発信が必要不可欠というわけです。
同スキルのニーズの高まりは中規模の書店に行っても分かります。2、3年前にコピーライティングの専門書は、あったとしてもジョン・ケーブルズ「ザ・コピーライティング」1冊のみ。最近は10タイトル前後が並んでいる。これから同スキルのない経営者は、バットを振ったことがない野球選手と同じくらい珍しい存在となるかもしれません。
続いて②はどうか。コピーライティングを学ぶと、自社の強みやウリを言語化する習慣がつくだけでなく、同業他社の表現から狙い所を解析する能力が備わり、効果的なカウンターが打てます。私のクライアントも「以前は他社のチラシやウェブを見てもデザインにばかり目がいっていたが、コピーから相手の強みや弱点が分かり、とるべき戦略やスタンスが自然に見えてくるようになった」と証言。また「東京の大手との競合プレゼンでも負け知らず」と手応えを口にするクライアントも。そう、企画書策定やプレゼンもまた、コピーが生命線なのです。どこにでもあるつまらない表現ではターゲットの心はつかめません。
このように良いことづくめ。最近は通信講座でも学べますし、私も新年度から経営者向けにコピーライティングのみの出張個別指導も始めましたので、興味のある方はメールでご相談ください。
読者からの相談
Q:ネット広告はこれから必須になるか。
A:これまでの四つのマス広告を全廃し、ネット広告にシフトする大企業も増えてきており、期待度は高まっていますが、私はターゲット次第と考えます。一見、顧客接点として有効に思えてもネット広告はとっくに激戦区になっていますし、信用を損ねる一部悪質な業者も横行しているので、この2点を鑑み、私のクライアントには現時点で一社もネット広告を打たせていません。効果が保証できるのは、再三お伝えしているようにメルマガとニュースレターです。ネット広告についてはまた連載で詳述します。
PROFILE
小林 カズヒコ
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com