コロナ禍でも成果を出す三つの取り組み
「正しいマーケティングは想定外の非常時でも緻密に機能し、企業の発展を支える」と繰り返し伝えてきましたが、1年半も続くコロナ禍において、最高の形で実証できました。とりわけ、マーケティングの中で何が効いたのか、利益を上げ続けている私の全クライアントの取り組みを改めて精査検証したところ、三つの束にくくることができたので、情報公開できる範囲内で紹介します。それは「知識」を起点とする「パッケージ」と「発信」です。
まず「知識」。通常、経営者は知識と聞くと、商品に関してはトリセツ的なこと、サービスに関しては特長やメリット、さらにはそれらが他社と比べて価格も含めてどうお買い得か、というようなセールストーク的なものを思い浮かべるでしょう。マーケティングでいう知識とは「ターゲットの近い将来のお困りごとの把握」です。例えばコロナ禍によって消費者行動は大きく変化しました。経営者であるあなたは「現在のお困りごと」はある程度把握できたとしても、近い将来をありありとイメージできますか。現在の状況把握だけでしたら、そこから生まれる商品やサービスは同業他社も容易に想像できてしまう平凡なものとなり、存在感を発揮することは不可能。マスクが売れれば「じゃあウチも」と大量に仕入れた結果、在庫の山に埋もれ、出口のない安売り競争に陥るのと同じ流れです。
では、ターゲットの近い将来のニーズをどうすれば的確に予想できるか。最初にやるべきはヒアリングです。クライアントは私の監修のもと、ターゲット用に20〜30項目のアンケートを作成します。どんな質問項目で構成するかは企業秘密で明かせませんが、飲食業の店頭でよく目にする、味や店員の接客態度に関するような無意味な質問項目は除外。最前線にいる営業マンやクレーム担当者からの意見も最優先で取り込みながら、徹底的にお客さまのお困りごとや行動パターンの背景を臨場感たっぷりに探る内容とします。集計結果を見たクライアントは「ここに書かれた回答に従えば売れない理由が見当たらない」と興奮します。例えは悪いですが魚に「どんなエサなら食いつくか」と先に質問しておいてから釣りをするような具合です。情報収集はターゲットのヒアリングのみにとどまりません。業界を飛び越え、他分野の最新トレンドの把握にも乗り出しましょう。それをしないとターゲットの今のニーズは分かっても、これからどう変化していくか、俯瞰(ふかん)での推察ができない。私のクライアントは会社ぐるみで、ある特殊な勉強会を週一回開催。だいたい半年もすれば、同業他社が追いつけないほどの実践知識を備えた精鋭部隊に生まれ変わります。お客さまの頭の中をのぞき込めるヒアリング結果と、週一勉強会で培った膨大な実践的知識を身につけた企業には、何を売ればいいか、商品やサービスの「あるべきパッケージ」が見えてくる。
パッケージはこういった行程を経て生み出されるものですが、ヘタな経営者は「いいモノを作れば売れる」と先にパッケージを作ってしまう。あとはこの「パッケージ」に、ヒアリングや勉強会で得た情報を織り込みながら、メルマガとニュースレターで的確かつタイムリーに「発信」する。以上がコロナ禍で証明された必勝の方程式です。
この三つのどれが欠けても快進撃はあり得ない。また、途中で事業が停滞に陥ったら、このうちのどれかが弱まっているのでそこに集中してテコ入れすればいい。簡単です。
社員も必勝の信念に裏打ちされ、勝手にモチベーションが上がります。世間ではモチベーションをどうやって上げるかが論じられていますが、「結果として上がる」のであり、順序が逆なのです。
PROFILE
小林 カズヒコ
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com