その他 2021.05.20

小林カズヒコの経営者のための実践マーケティング講座 第31回

鬼滅の刃ヒットの裏にあるビジネス戦術を学ぶ

少年ジャンプが重要視する取り組み

 映画も大ヒットした漫画「鬼滅の刃」が連載されていたのは「週刊少年ジャンプ」です。少年ジャンプといえば「鬼滅」以外にも、「ドラゴンボール」「ONE PIECE」「るろうに剣心」「ジョジョの奇妙な冒険」「銀魂」など、あまり漫画に興味のない人でも名前を知っている人気作を何十年も世に送り出してきたモンスター雑誌。この少年ジャンプが初代編集長の頃から他誌に先駆けて実践し、今も重要視している取り組みがあります。それは毎号雑誌にとじ込まれた「愛読者アンケート」による、綿密な読者調査です。
 初代編集長の長野規氏は「まず自分たちの読者を知ること、そしてその読者の頭の中からポケットの中まですべてを知ること」がいかにヒットのカギを握っているかを当時の編集スタッフに叩き込んだとか。これはマーケティングの「ターゲットを知り、絞り込む」にそのまま当てはまります。
 「アンケートならうちもやっているよ」という経営者もいらっしゃるでしょうが、私が過去に見せてもらったアンケートは「よかった、まあまあ、よくなかった」のような三択スタイルの、少しもターゲットに肉薄しないものばかり。
 少年ジャンプがユニークなのは設問を毎回工夫していることです。たとえば「キミの悩みはなんですか?」という項目。一見、漫画とは無関係ですが、読者が日頃どんな悩みを抱いているかを知ることは、リアリティのある作品づくりやキャラクター設定の重要なヒントになります。少年ジャンプの三大コンセプトとして知られる「友情」「努力」「勝利」も最初から存在したわけではなく、膨大な数のアンケートを実施した末に見えてきた読者像なのです。
 そのほか、最近の読者アンケートには「面白かった作品」以外に「今後アニメ化して欲しい作品」などを書き込む項目もありました。人気のあるものは誌面トップや前半に、そうでない作品は末尾に置かれ、何週か最下位がつづくと連載打ち切り。ターゲットを把握したうえで、このような過酷な試練を乗り越えて生き残った作品にハズレがないのも当然でしょう。
 私は金融機関からの依頼で経営不振に陥った企業の助言を請け負うことがありますが、「ターゲットは誰ですか」との問いにしっかりと答えられた経営者は皆無です。自分たちの真のお客さまをよく知ろうとせず、一方的な思い込みで商品やサービスを打ち出し、場合によってはそのために高額の融資を受けて設備投資する。広島の経営者はこのようなギャンブルをいつまで続けるのでしょうか。
 少年ジャンプの元編集長である後藤広喜氏の著作「少年ジャンプ黄金のキセキ」は実践性の高いマーケティングのヒントがいっぱいです。一読をお勧めします。

読者の質問コーナー

Q:顧客に向けてメルマガをやってみようと思っているが、社内に反対意見が根強い。また、出す場合はどの頻度が良いか。

A:私のクライアントはコロナ禍でも平然と売り上げを出していますが、集客の誘因となったのはメルマガであり、効果を疑う余地はありません。ただ出せばいいというのではなく、見出しやコンテンツの構成など、スルーされないための工夫やしかけが必要です。頻度も重要で、最低でも隔週。数カ月に一度程度なら、やっているうちに入りません。本稿に収まらないため割愛しますが、効くメルマガの手法には秘けつがあるのです。

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PROFILE
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小林 カズヒコ 
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com

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