地域経済 2026.03.16

福美人酒造 杜氏の全国トップを招請へ 伝統的製法で高付加価値品に転換

 西条酒蔵通りの一角を担う福美人酒造(東広島市西条本町、島治正社長)は10月、日本酒造杜氏(とうじ)組合連合会(日杜連)の石川達也会長を招請する。併せて、四つの蔵を二つに集約して製造設備を一部新調し、伝統的な製法「木桶生酛(きおけきもと)造り」に全面移行する。全国的に酒の消費量低下が続く中、生き残りをかけて高難度かつ高付加価値のラインアップ構築に挑む。

 広島杜氏組合長も務める石川氏は1964年生まれ、同市出身。94年~2020年に竹鶴酒造(竹原市)に勤め、96年から杜氏を担った。現在は茨城県の月の井酒造で杜氏を務める。人工乳酸を添加せず、蔵に浮遊する菌や酵母を使って日本酒を醸す生酛造りに20年以上取り組んでおり、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術保存会副会長として全国へ指導に回る。24年には白牡丹酒造(東広島市)で同製法の復活に貢献。同社の社長も兼務する島社長が帰郷を望む石川氏に声をかけて実現した。

 福美人酒造は今秋に始まる令和8酒造年度までに、本社併設の恵比寿(えびす)蔵にある1、2号蔵へ製造資源を集め、生産量を半減させる。新たな排水設備に加え、総米500㌔を仕込める木おけ六つを藤井製桶所(大阪)に発注。現代で一般的なほうろう(ガラス)やステンレス製の使用を止め、より付加価値が高い伝統的な味わいの酒造りへ方針転換する。島社長は「造り方の全面変更はアイデンティティーに関わる非常に大きな挑戦。当社はかつて優秀な蔵人を多く輩出し『西条酒造学校』とも呼ばれていた。石川杜氏の下で酒造りを学びたい人が集まってくる環境にしたい」と意気込む。

 今春で閉鎖する大黒蔵(西条末広町)は、国の史跡「西条酒蔵群」の一つで1925年建造。現在3、4号蔵として主要な製造を担っているが老朽化が激しく、今後の活用は市の計画を待つとする。 同社は1917年に西日本の酒造業者が出資し、酒造業として全国で初めて株式会社として創業した。

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