巻頭特集 2026.03.16

広島県が3社のインド進出支援 マッチングに成果、各社で事業化へ

造船市場への参入目指す 「つくり方」を売り込む

三工電機 / 川原 政徳 管理部部長

 当社は舶用分電盤で国内シェア7割を占めるニッチトップ企業だ。現在の売上高15億円を10年以内に100億円に引き上げるという野心的な目標を掲げており、あらゆる事業可能性を探っているところだ。

 世界の造船市場は、中国を筆頭に韓国と日本の3国で大半を占めており、これまで当社が海外進出を検討したことはなかった。そうした中、インド政府が昨年、新造船・修理の分野で2030年までに世界10位、47年までに5位を目指す方針を掲げた。現在のインドの造船業は世界シェアが1%にも満たず、外国依存度が高い。そこで急成長が期待できる市場への進出可能性を探りたいと考え、本事業への参加を決めた。

造船会社との協業に大筋合意

 9月にインドに渡航し、9社と面談した。そのうちの1社で、造船・重工業大手の会長と面談する機会を得た。そこで「日本と同規模の船を建造するのに、インドは3倍の時間がかかる」との話があった。先方の抱える課題は、技術そのものより生産プロセスにあるという認識で、当社が年間200隻分もの設備を造ることに強い関心を示してもらった。

 当社は国内業界大手4社のうち3社にOEM供給しており、技術力と品質管理で評価を積み重ねてきた。面談先の企業規模は当社を上回るが、日本品質や短納期生産、標準化手法は通用すると感じている。2度目の渡航で、同社とSOP(標準作業手順書)に関する実証実験を進める方向でおおむね合意した。近く秘密保持契約(NDA)を結ぶ予定だ。

標準化手法を横展開

 社内のDX化の一環で、設計から板金、塗装、配線、検査に至る一貫生産体制の仕組みを改めて標準化する作業を進めている。ベテラン社員の暗黙知を含めて情報を整理し、若手社員でもベテラン同等の品質を実現できる体制を整えることが目的だ。それを英語版に改めて、インド市場で適用できるかを検証したい。対象はまず分電盤とコンソール(操作台)の2品目を想定している。

 技術データは提供せず、あくまで「ものづくり手法」を活用してもらう形を基本とする。実証が成立すれば、当社の標準化手法が海外のさまざまな場所でも有効であると確認できる。その確証は、当社の海外展開を加速させる材料となる。実証が始まれば技術指導のため、私を含め現場スタッフとともに毎月のように訪問する覚悟でいる。

 来年度中に実証を実現させ、その先に現地製造ラインの建設を見据える。並行して国際協力機構(JICA)の支援を受け、マーケティング検証を進める計画だ。最終的には一貫製造工場を現地に設け、現地人材だけで運営できる体制を築きたい。目標は標準製品を人件費の安いインドで製造し、日本は特殊品に特化する役割分担だ。現地の経済成長に貢献しながら、当社も100億円への歩みを加速させたい。

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