巻頭特集 2026.03.16

広島県が3社のインド進出支援 マッチングに成果、各社で事業化へ

環境計測と構造物点検で連携へ 現地法人が橋渡し役を担う

中外テクノス / 森本 一義 海外事業推進本部 副部長

 2020年8月、インド南部のベンガルールに現地法人を設立した。背景には、インド政府が500基の脱硫装置を石炭火力発電所に設置することを義務付ける方針を打ち出したことにある。取引のある国内大手プラントメーカーが現地電力事業者に技術ライセンスを提供する動きがあり、当社が日本国内で長年培ったプラント性能試験業務をインドでも展開できると判断した。

 進出5年目となる前期で初めて現地法人を黒字化できた矢先、昨年7月に政府方針がまさかの変更。大気汚染の主因は二酸化硫黄ではなく煤塵であるとの見解が強まり、全発電所への設置義務が見直された。結果として約78%の発電所が対象外となり、市場は大幅に縮小する見通しとなった。そこで、新規事業創出が喫緊の課題となった。単独で新規分野に参入するには規制対応、技術移管、営業の面で限界がある。現地企業との連携が欠かせず、マッチングを期待して本プログラムに参加した。

現地2社と協業合意へ

 当社が手掛ける環境調査・分析・構造物調査の中で、「温室効果ガス(GHG)計測などのエネルギー関連」、「ドローンによる構造物点検関連」の2分野でマッチングを依頼。昨秋の渡航で計7社と面談した。

 エネルギー関連では、GHG排出量算定ソフトを開発するスタートアップと面談。当社が国内で実施してきた算定方法は自動化に課題がある。現地スタートアップは鉄鋼業界向けソフトを手掛けており、当社の火力発電分野におけるエネルギー消費構造などの知見を組み込んだソフト・ハードを共同構築する方向で協議している。詳細な契約内容は検討中だが、2社でまずは現地発電所を開拓したいと考えている。

 ドローンを活用した構造物点検の分野で、当社は撮影画像を3D化し、ひび割れを検出・可視化するソフトを有している。ドローンは国ごとに規制が異なるため、現地企業が撮影を担い、当社が解析を行う体制を想定した。ドローンの撮影技術を持つ現地スタートアップと商談し、2度のデモ試験を実施した。日本に送付された画像からひび割れを検出し、無事に技術的な実証を終えた。

 現地2社と連携合意を得られたのは大きな成果だ。日本本社を含めた基本合意書(MOU)の締結に向けて条件調整を進めている。

現地法人を抱える優位性

 インド事業が円滑に進む背景には、現地法人の存在がある。マッチングの対象を現地法人のあるベンガルールに絞ったことで、現地社員が迅速に動いてくれた。また日本の商習慣も理解した広島大学出身のインド人の代表が協議の際に互いの商習慣の橋渡し役を務めてくれて、意思疎通がスムーズに進んでいる。

 当社は中長期ビジョンで海外売上高の拡大を掲げる。現地法人を置くベトナムとインドの売り上げだけでなく、日本からの海外案件獲得も含めて各国で進出可能性を探っていく。

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