巻頭特集 2026.03.16

自動車産業はさらなる成長へ 技術・人材獲得も進出の利点

住友商事 / 山西 淳也 中国支社長

 当社は2024年3月、インドのオリジンズ・チェンナイ工業団地(タミル・ナードゥ州)の運営会社と共に、県内企業のインド進出を支援する協定を広島県と結んだ。日系商社として、日本人による現地サポートを提供するなど、進出準備から操業まで一貫した伴走支援に力を入れている。県との提携後は「進出に向けて何をすべきか」「現地の実情を知りたい」といった相談に応じ、情報提供を行ってきた。これから進出を検討する企業には、まず現地視察を勧めたい。事業環境に加え、文化や生活面も含めて現地の状況を肌で感じることが重要だ。

 私は1990年に入社以来、自動車畑を歩んできた。昨年春に現職に就く前の直近4年間はインドに駐在した。同国はきれいな人口構造で、今後も継続した経済成長が見込まれる。自動車産業では、インド政府が2047年の独立100周年を見据えた意欲的な成長戦略を掲げており、さらなる市場拡大が期待される。

世界屈指のエンジニアリング力

 かつては品質面に課題を指摘する声もあったが、現在は日本の自動車メーカーとの差が年々縮まりつつあることを実感している。特に一般部品は市場規模が大きく、量産効果を出しやすい。人件費も安くコスト競争力は高い。

 日本企業が進出する際に重要なのは、人口増加に伴い拡大する現地市場を取り込む視点と、成長著しい技術力とコスト競争力を獲得する視点の双方だと思う。優秀な人材が多く、特にエンジニアリング分野の人材層は世界的に見ても競争力が高い。将来的には、逆にインド製部品が日本市場に参入してくる可能性もある。もう一つの視点は、インド市場を拠点とした海外展開だ。中東・アフリカなど西側地域への足掛かりにする企業もある。政府は工業製品の輸出拡大方針を掲げており、この流れをつかめば大きな追い風となる。

 一方、ビジネス上の難しさはある。自動車産業は既に大きな市場で、参入競争は激しい。現場のオペレーター層の人件費は低いが、管理職層は一気に跳ね上がる。英語を話せる人材は1割ほどにとどまる。28州それぞれで税制や法制度が異なり、自動車販売でも州ごとに戦略を立てる必要がある。市場特性も欧米諸国と異なるため、日本の手法をそのまま適用することには慎重さが求められる。

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