O2O戦略
コロナ禍が収束して自由に出歩けるようになり、人が街に戻りました。「リベンジ消費」と呼ばれる抑制の反動による消費が話題になっています。リモートワークやオンラインショップが急速に普及しましたが、これからはリアル(実店舗)も重要になっており、もはやオンラインとリアルが重なり合う世界になりました。
O2O戦略の重要性
マーケティングではオンラインとオフラインの融合が進んでいます。これをO2O(オー・ツー・オー)戦略と呼びます。関心喚起や購買促進をオンラインとオフラインでシームレスに行うことです。ウェブやSNSを使って情報を発信し、集めた見込客を実店舗へ誘導して購買を促すマーケティング施策です。また、この戦略ではパーソナライズされたマーケティングや顧客の経験価値を高めることを重視します。
戦略上のメリット
①相乗効果
オンとオフを連携させることで、それぞれのメリットを生かした相乗効果を期待できます。オンでは広範囲にリーチして多くの人に商品やサービスを認知してもらい、オフでは店舗で商品やサービスを体験してもらうことで購買意欲を高めます。
②コスト抑制
販促費を抑えることができます。ウェブ広告やSNSなど低コストの施策を活用し、セールやイベントなどを仕掛けることで効率的に顧客を獲得できます。
③顧客満足度の向上
オンとオフの施策を統合することで顧客満足度やロイヤルティー(愛着)の向上につながります。
O2O戦略の具体的な施策として以下のようなものが挙げられます。
1)位置情報の利用
スマホのGPS機能などを活用して店舗付近の顧客にプッシュ通知や広告を送ることができます。店舗内のビーコン(情報受発信器)信号をスマホに発信し、パーソナライズされた情報を顧客に提供することも可能です。
2)オンライン予約や取り置き
ウェブで予約して最寄りの店舗で受け取れるオプションを提供します。あるいはウェブで商品を選んで店舗で確認した後に購入を決められるようにします。
3)デジタル・ポイントプログラム
対話アプリのラインなどでクーポンを配布したり、来店ポイントをためる仕組みを導入します。
4)AR(拡張現実)での商品体験
スマホのカメラを通じてバーチャルな商品を試着したり、自宅に置いてみたりすることができます。店舗で実物との比較を促します。
既に多くの企業がO2O戦略を実行しています。コーヒーチェーンのスターバックスはアプリで事前にオーダーし、最寄りの店舗で受け取ることができます。便宜を図りながら、店舗への流入を増やしているのです。また衣料品のユニクロはウェブで商品を購入し、全国の店舗で受け取れたり、店舗在庫がない場合にウェブで注文して家に配送させるなど取り組みを行っています。
O2Oを活用することで、効率化を図りながら顧客満足度の向上につなげられます。そのためには当然、顧客を深く理解する必要があります。顧客の嗜好や購買歴、行動履歴などのデータを分析し、顧客ニーズに合わせた対応を心掛けましょう。
PROFILE
宮田 庄悟(みやた しょうご) 1956年1月3日生まれ、和歌山県出身。早稲田大学を卒業し、79年4月に電通入社。東京、ニューヨーク、北京、ロンドンでマーケティング、イベント、スポーツ業務に従事。「ラグビーワールドカップ2019組織委員会」の広報・マーケティングなどを担当。20年4月から現職。