令和に向けてマインドセット
元大蔵官僚で経済学者の野口悠紀雄氏の最新刊「平成はなぜ失敗したのか」は、経営者必携の一冊です。「平成の失われた30年」を時系列で洞察し、世界の急激な変化に気づかずに日本経済が大きく取り残された原因を分かりやすく解説。現在の日本経済はまぎれもなく「下り坂」にある指摘には、多くの読者が共感するのではないでしょうか。
それでは令和になると日本人経営者は平成での失敗を教訓にし、悠揚と復活への一歩を踏み出せるのか。希望的観測と言わざるを得ません。なぜなら、この30年で起こった変化の何十倍何百倍もの速さとスケールで、未知のシステムやサービスの台頭が確実視されているから。無風ならまだしも、生半な根性では立っていることすら難しい、大逆風となるでしょう。なにしろ世界の覇者ですら安泰ではない。例えば以前の連載で「Gガ ーファAFAすら知らない経営者」と題し、インプット不足の経営者に苦言を呈したのは、たった数カ月前のこと。そのGAFAの座を最近脅かし始めているのが「バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ」の頭文字をとったB ビーエイティーエイチATHと呼ばれる、中国発のIT新勢力です。
「そんな米中メガテックの動向なんか、私らローカルの企業には関係ない」という経営者には「10年前、アマゾンやスマホが出てきたときに、日本の津々浦々の小売業が甚大な影響を被ると警鐘を鳴らした人はいますか」と問いたい。家庭用自動掃除ロボットが登場したとき、ビル清掃業の経営者ならば数年後に商業施設用の大型機器が開発されると予測しないといけない。時代の変化に目を凝らし、相関と因果を先読みする想像力と機を逃さぬ迅速な行動力がなければ、10年後、あなたの会社は存在しないと断言します。
ゴルフや野球観戦の時間を半分に減らしてでも、本やセミナーから積極的に情報を収集すべきです。「どこから手をつけていいか分からない」というクライアントにお応えし、私の責任編集で定期的に最新情報と動向予測をお届けする「オンラインサロン」を近日開設予定です。次回は令和の幕開けに、根本的に事業のあり方を再構築する実践的事業計画書作成のポイントをお伝えする予定です。
読者の質問コーナー
Q:働き方改革もあり、今の人材でどう事業停滞の難局を乗り切るか悩む。
A:全部署の業務のマニュアル化(成文化と図式化)に取り組んでください。次にそれを全社員で役職を超えて検証します。不具合や不効率な箇所は、その部署内では「慣れ」のため気づけません。違う部署の社員の新鮮な視点なら、停滞を生むボトルネックが見つかりやすい。高速道路の自然渋滞と同じく、経営の減速はささいな障害の連鎖で引き起こされる場合が多いのです。これをせず、安易に設備投資に踏み込まないようご注意を。
PROFILE
小林 カズヒコ
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com