嫌われる勇気を持つ
他人の目を気にし過ぎる経営者
昨年助言した中で、大きな設備投資もなく3カ月〜半年で望む以上の効果が表れ、何年も続く赤字経営から脱出した企業がいくつかあります。一方で成果を出せず、もんもんとしている経営者もいらっしゃいます。同じ様に助言したはずなのに、この差はどこにあるのか。ヒアリングすると非常に広島らしいというのか、「他人の目」が理由だと分かってきました。他人とは同業他社のことです。
マーケティングの原理原則から導き出した勢いのあるキラーオファーやパッケージが構築でき、ウェブサイトや紙媒体を使い狙ったターゲットへ向けて発信し始めると、それが今までにないアプローチで、インパクトがあるほど、当然のことながら同業者の目に脅威に映る場合があります。広島特有かもしれませんが、アピールの内容が合法的であり他社を中傷するものでなくても、目立つことをやると「いいとは思うけれど、やり過ぎじゃないの」と、やんわりと横ヤリを入れる同業者がいることは以前から把握していました。そんな空気に耐えられず、助言以前のやり方にあっさりと戻してしまう気の弱いクライアントがいらっしゃるのは残念なことです。
同業者同士で表向きは仲が良さそうでも、抜け駆けは許さないとばかり、足の引っ張り合いをする。こんな状況ではいずれ、業界全体が地盤沈下を起こすことでしょう。「みんながやるならウチもやる」といった同調意識が顕著な広島で「イノベーション」が掛け声だけに終わっていると感じられるのも、ここに原因がある気もします。
身勝手な振る舞いを推奨するのではありません。注目に値するマーケティングは周囲の反感やねたみがあって当たり前だと理解し、少々嫌われても構わないと経営者はハラをくくるべきです。同業他社も、慣れ親しんだ手法を捨てて一歩踏み出そうとする経営者の勇気をたたえ、時には教えを請い、研究し、切磋琢磨していく。それこそが真のイノベーションの萌芽であり、業界のみならず地方経済が生き残る、確かな道筋のように思えます。
読者の質問コーナー
Q:連載を見てGAFAに関する本を読んで経営者としての無知を実感し、インプットを習慣づけようと思うが、他にマーケティングトレンドはあるか。
A:絶対に押さえるべきビジネスモデルが「サブスクリプション」と呼ばれる、継続課金システムです。連載で早めに解説します。
Q:マーケティングなど役に立たないという上司をどう説得すれば良いか(従業員)。
A:批判の理由を聞いてみると、原理原則を知らない的外れなものが大半です。上司を説得するより、まずは一社員としてできるマーケティングを実行されてはいかがでしょう。次回で具体的な方法をレクチャーします。
PROFILE
小林 カズヒコ
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com