木造で復元することになった広島城。3年ほど前から広島城天守閣の木造復元を実現する会の会長として活動を引っ張ってきた大橋啓一さん(ひろしま美術研究所校長)は広島の歴史をひもとく勉強会を重ねるうち、広島城を築城した戦国武将、毛利輝元の銅像建立プロジェクトを立ち上げることになった。来年6月2日に輝元公没後400年を迎える。大橋さんは、「天守閣の木造実現には10年位の歳月がかかる。その間、復元へ向け機運を盛り上げようと輝元公の銅像を建立する話が持ち上がった。輝元公は広島という街の基礎をつくった人。そのおかげで今の広島がある。各地の城にはゆかりの武将の銅像がある。関ヶ原の戦いで西軍総大将を務めたが敗北。移封された長州藩の萩城跡に輝元公の銅像があるが広島城にはない。被爆後の広島は世界に語られるが、被爆前の歴史をたどり、向き合うことも大切ではないでしょうか。広島の基礎をつくった輝元公を知ることは観光や文化の振興だけでなく、県民のアイデンティティーにつながり、誇りになると思います」銅像建立の候補地として城の堀近くを希望。歴史をのぞくと埋もれていた価値の発見にたどり着くかも知れない。来年完成を目指す輝元公銅像建立プロジェクトは1000万円を目標にクラウドファンディングで8月30日まで資金を募る。

中小企業基盤整備機構中国本部は6月25日、呉市のベンダ工業社長の八代一成さんに「中小企業応援士」を委嘱。併せて功労者感謝状を贈呈した。応援士制度は2019年度から始まり、中小企業・小規模事業者の活躍や地域発展に顕著な功労があった経営者や中小企業支援機関の人たちに委嘱し、さまざまな課題を抱える地域の中小・小規模事業者に施策の紹介や相談・助言を行う。24年度は全国で41人に新たに委嘱し、合計173人が中小企業応援士として活動する。京都からは俳優の佐々木蔵之介さんの実家、佐々木酒造の佐々木晃社長らが選ばれた。中国本部では、「広島県内から唯一、応援士に委嘱された八代社長は呉商工会議所副会頭を務めているほか、地域未来牽引企業に選出され、ものづくり日本大賞経済産業大臣賞などを受賞。経験を生かし地元企業にアドバイスしてほしい」

東京商工リサーチの全国調査で建設業の約85%が「正社員不足」と回答。きつい、汚い、危険という3Kイメージのせいか、産業別で最多だった。イメージ払拭に若い女性の力を借りることができないか。総合建設業の栗本(西区)は5月29日、広島工業大学の女子学生を対象に現場見学会を開いた。女子学生キャリアデザインセンターに所属し、学生向けワンルーム物件の改装プロジェクトを手掛ける1〜2年生約20人が参加。新築中のマンション内で基礎工事から鉄筋組み、配管類の設置といった一連の過程を学んだ。親会社の栗本ホールディングス担当者は、「同大の学生らが北広島町の古民家再生に携わっていると知り、当グループでも学びの場を提供できればと協力を申し出た。施工内容や働き方など熱心に学んでくれ、われわれにとっても良い機会になった。進路を決める際に建設業、そしてわれわれを選択肢に入れてもらえればうれしい」男性だけだった職場に女性が次々参画し、がらりと雰囲気を変えた事例の枚挙にいとまがない。建設業界で女性が活躍し、現場を指揮する監督が登場する日を願いたい。

4月からトラック運転手の残業規制が始まった2024年問題の影響か、早くも運輸業界で経営破綻が表面化。東京商工リサーチの調査によると、5月の運送業者の全国倒産件数は20年間で最多の46件に上った。前年同月比で2・2倍になった。運転手不足の解消に少しでも役立つことができないか。備南自動車学校(福山市)は「ビナン物流アカデミー」で大型免許やフォークリフトなどの教習、エコドライブ講習、初任診断を最短9日間の合宿で実施している。大手物流会社へ就職あっせんする有料職業紹介事業も昨年から始めた。6月14日〜7月13日には教習生兼アンバサダーを募る。自身の体験や運送業務の長所をインスタグラムで発信してもらう。通常の教習料金が必要だが同校近隣で使えるグルメクーポン1万円分を特典に付ける。井上道信社長は、「これまで25人の就職をあっせんした。便利で快適な日常が続くよう、運転手不足という社会課題の解決が急務。大型免許取得者6000人を育てた実績を生かしたい」

ケータリングサービスやレストランなどを運営するイベントス(中区舟入中町)は企業向け出張宴会サービス部門が好調だ。4〜6月は過去最多の100件超に対応し、コロナ禍前の約3倍にまで増えた。企業に出向いて懇親会などの宴会を丸ごと引き受ける。企業内の会議室や食堂を使った懇親会などのニーズは年々高まっているという。社外で行う懇親会はパート社員中心に不参加になることが多いが、職場での開催は全員が参加しやすい。移動時間を省き早く帰宅できるメリットもある。川中英章社長は、「郊外や流通団地などの事業所はその地域に住む人たちのパートタイム労働が大きな力。働く仲間を慰労したいという経営者や企業の依頼に応え、市内外に出向きます」27歳で脱サラし起業する時、人が集う場面に着目した。食を通して人の絆が強まる企画に力を入れている。

商業施設レクト(西区)でネイルサロンを運営するイツカキットデザイン社長の舩木いつかさんは、元カープ選手の安部友裕さんが設立したHAKIpro(同区)のプロジェクトマネージャーに1月就任した。過去に対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を駆使して書籍を出版した経験を生かし、新会社の出張型新人研修にチャットGPTを活用。自分自身の思いを言語化させる方法を解説する。5月に開設した会社用アカウントでは安部さんが健康経営セミナーなどで奮闘する仕事風景やオフショットなども発信する。「昨年7、10月に安部さんと運動イベントを開くなど親交があった。マネージャーを引き受けたきっかけは共にイベントに携わっていた、安部さんの現役時代からのトレーナー、伊藤さんの紹介でした。現役時代から『覇気』を信条とし、どんな時も挑戦し続けてきた安部さんの良き右腕となれるよう少しでも貢献したい。過去にインスタグラムのフォロワー数(個人アカウント)を1年間で1万人増やした私自身の経験や知識を生かし、テクノロジー台頭の時代にこそ、人間味あふれる覇気ある会社を目指します」

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