5年ぶり夢花火
広島の夏を代表する風物詩「広島みなと夢花火大会」が5年ぶりに戻ってくる。コロナ禍などから中止されていたが、ざっと44万人が訪れる花火ファンの願いが届いた。7月27日午後8時から40分間、広島港の一帯で約6500発を打ち上げる予定だ。何しろファンの力が大きい。6月1日発足したクラウドファンディング(CF)サイト「ひろファン」は第1弾として、夢花火大会主催者の広島祭委員会が警備や清掃などの運営費に充てる300万円を目標に7月5日まで募る。同CFは広島銀行、中国新聞社、CFサイト運営のレディーフォー(東京)の3社が共同運営。今後も広島を愛し、広島を応援する活動を支え、支援者(ファン)らと共に夢を広げていく思いをサイト名に込めたという。夢花火大会主催者のメンバーである広島観光コンベンションビューロー・魅力創造部にぎわいづくり担当部長の本田雅敏さんは、「大会再開へ向けた花火ファンの応援が大きかった。今年は少し規模を縮小するものの、広島駅北口に臨時バスを設けるための警備員増に加え、花火玉の高騰などで費用がかさむ苦しい事情を抱えています。CFサイト立ち上げで支援の輪が広がっており、さらに広島を盛り上げていくうねりへ発展するよう願っています」ドラフラに続き、サンフレッチェ、カープ優勝なら、でっかい花火を打ち上げよう。
人口流出の課題解決
やはり人口流出対策への支援が重点事業に挙がった。中国経済連合会(芦谷茂会長=中国電力会長)は6月11日、市内ホテルで総会を開き、2024年度の事業計画を発表。全国を上回るペースで人口が減り続ける中国エリアの課題解決へ、DXを推進する方針を掲げた。デジタル活用の意義や課題を地域企業に共有するため、セミナーを通じた先行事例の紹介や相談会といった取り組みを進める。芦谷会長は、「特に中小事業者のデジタル実装を促すことが急務と考えている。地域企業の競争力を高めるためには、まずは経営層の意識変革が必要。その上で、実務を担う人材の育成・確保に向け、エリア内外の教育機関などと連携した学びの場も提供していきたい。またスタートアップの創出や育成にも注力し、若者に魅力を感じてもらえる地域を目指す」そのほか脱炭素実現への活動や、来年に控える大阪・関西万博をきっかけとした観光客誘致策なども展開するという。人口流出に歯止めをかけ、流入を増やすために地域は住みたいと思う独自の魅力を高め、企業は就職したいと思う実力を身に付けるほかないが、有効的な産学官連携などに知恵を絞り、地域を動かすリーダーシップを発揮してもらいたい。
新卒者の待遇改善
広島市信用組合は2025年春の新卒採用選考を進め、本部での最終面接に臨んだ105人のうち、57人を内々定した。24年春の新卒採用者数は45人だったが来春は増える見込み。23年4月に4大卒初任給を地元金融界でトップクラスの23万円に引き上げた。続いて24年1月に23万3000円、2月に23万5000円、3月に24万5000円に引き上げ、わずか11年間で計6万2000円の大幅アップを行った。短大卒は21万5000円に引き上げ、11年間で6万7000円アップ。高卒は20万5000円とし同6万5000円アップ。山本明弘理事長は、「最終面接で学生からは業績に加え、初任給や福利厚生、店舗新装の状況、育児休暇や女性登用といった率直な質問が相次いだ。さらなる待遇改善を検討中。男性の新入職員は支店中心に配置し、さらに渉外部門を強化していきます」
瀬戸内の潜在能力
約700もの島々が点在し、豊かな自然や歴史、産業を抱える瀬戸内海。その潜在能力を発掘し、磨きをかけようと任意団体「瀬戸内フォーラム」が6月12日に発足した。設立総会にオンライン参加した広島県の湯崎英彦知事は、「観光新興を図るせとうちDMO、海洋ごみ対策の瀬戸内オーシャンズXといった取り組みが進んでいるが、また一つ素晴らしい会ができた。世界有数の閉鎖性海域とされる瀬戸内エリアは外部からの影響が少ないため、成果を可視化しやすい。経済団体や企業などと連携し、行政の役割を果たしていきたい」フォーラムは瀬戸内海の資源を生かした新たなビジネスプランなどを募り、実現への活動を進めていく。事務局は(公財)笹川平和財団(東京)が務める。
育休サポート支援金
少子化が一段と加速している。2023年に生まれた子どもは72万7277人で、合計特殊出生率1・20とともに過去最低を更新した。若い世代の不安に応え、子育てへの希望を取り戻すことができるか。国をはじめ企業も出生率の向上や子育て対策に知恵を絞り、有効な一手が求められている。常石グループの総合商社、常石商事(福山市沼隈町)は6月1日、育休取得者のいる職場(課・店舗)のメンバーに一時金として1人当たり1〜5万円を給付する「育児休業サポート支援金」制度をスタートさせた。育児休暇による業務の穴を埋める周囲のメンバーに配慮することで、育休を取りやすい雰囲気を醸成していく狙いだ。人事担当者は、「過去の育休対象者へのアンケートで、職場に迷惑をかけるのではないかという心配から取得しなかったという声が多くあった。安心してライフプランを描くことができ、誰もがイキイキと働ける職場を実現させたい」手遅れにならぬようできることから始めるほかない。
消滅させない
将来、消滅する可能性がある県内6市町の一つに挙げられた竹原市。地元中高年の勉強会「あしたばエキスパート会」は6月10日に今栄敏彦市長を訪ねて故郷を元気にする提言を手渡した。子どもの郷土愛を育む機会や市民講座、図書館など学ぶ場の充実を通じて歴史家の頼山陽や総理を務めた池田勇人ら竹原出身の人物について知り、地元の良さを再発見する。それらを首都圏の大学の地域史セミナーなどで発表することで、都会からのUIJターンを促すという。移住希望者が地域情報を手に入れやすくするため市民団体やボランティア事務局を1カ所に集約。市の中心部再開発(市庁舎、ゆめタウン竹原跡地)構想に盛り込むよう説く。会長の児玉忠則さん(81)は、「JRの各駅舎では住民が飲食店やマルシェを開き、人が集まる場に再生したい。電車に乗って駅舎を巡るなど新たな観光コンテンツが生まれる。何としても消滅させない、元気都市に変えていく」20カ国・300人が参加する国際カイアシ類学会を機に、5月に同市の広島大水産実験所に国内外の大学院生を招待。知恵を出せば人を呼び込める。